サービス部門縮小は、ばかげたリストラ

農産物や鉱物が生産過剰でありふれたモノとなり、そして工業製品も生産力向上や中国など労賃が安い中進国が台頭した結果、コモディティ化してしまった。

 

そして製造部門で利益を上げられなくなったメーカーは製造部門を整理縮小し、ムダな出費や経費を抑えざるを得なくなった。

 

ところがばかげたリストラを始めだしたところが多い。

 

経費節減のためにサービス部門から専門知識や熟練技能を持った人間を外し、替わりに「コールセンター」や「ヘルプデスク」という名前で、顧客に通り一遍のマニュアル化されたサービスを提供し始めたのだ。

 

経済の主な財が農産物や鉱物から工業製品に移り、そしてそこからサービスに移動してきたというのに、やりようによっては大きな付加価値を得ることができるサービス部門まで縮小し、そのかわりに詳しいことはよく分からない素人に毛の生えたような人材を並べて電話を取らせる。

 

受け答えをマニュアル化し、劣悪なサービスを大量生産する。

 

まさに経験(エクスペリエンス)価値創造とはまるで逆の方向であり、このような劣悪なサービスに高い金を払う客などいない。

 

サービスとは「顧客それぞれにカスタマイズされて提供される経済価値」なのであり、サービスの大量生産は、サービスの質を劣化させる。

 

サービスをそうやって劣悪化させる企業があるということは、逆に上質なサービスを提供することによって、個客を獲得できる可能性が高くなると言うことである。

 



目の前で、自分のために動いてくれる。

サービスを拡充して成功した企業に、アメリカのGNC(ジェネラル・ニュートリション・センター)がある。

 

GNC社はウルトラ・メガなどといったヒット商品を持つ、ビタミン・栄養補助食品メーカーであるが、LIVE_wellという個客向けサービスを展開して利益をあげている。

 

ビタミン剤と一口に言っても、ビタミンA・B・C・D・E、と様々な種類がある。

 

ビタミンAといっても肝油のようなタイプもあれば、植物性のカロテンのようなタイプもある。

 

Bと言ってもB1・B2・B3(ニコチン酸)・B5(パンテトン酸)・B6・B12・ビオチン・葉酸などと山ほど種類がある。

 

これらは用量も様々だし健康に対する影響も様々であり、とてもじゃないが普通の人々には、選択して自分にぴったりのビタミン剤を選ぶと言うことなどできっこない。

 

だからGNC社は顧客それぞれに適したビタミン剤の、セットを提供するサービスを開始した。

 

GNC社では顧客の問い合わせに対し、まず顧客のライフスタイルや顧客ニーズに合わせた、9つのカテゴリの基本セットを用意した。

 

そしてその一つのカテゴリの中から、アソシエート(相談員)はその顧客に4〜9種類のセットを提示し、顧客とともにその顧客専用の配合のビタミン・パックを選び出す。

 

アソシエートは顧客の情報とビタパックの配合をコンピュータに打ち込み、それが安全な組み合わせであるかをチェックした後、「顧客の目の前で30日分のビタパックを製造する」。

 

GNC社はビタミンという工業製品を製造しているメーカーであり、製品自体は不特定多数の顧客のために、標準化(つまりコモディティ化)されているが、このようにサービスは顧客それぞれにカスタマイズしたのである。

 

そして顧客はこのように、自分をその他大勢の顧客としてではなく、「特徴をもった一人の個人」として扱われることを求めている。

 

そして自分自身のために行われたサービスに感謝し、十分な対価を払うのだ。

 

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