D判定でも、合格できる?
ミキちゃん、今日はなんだかやけに静かだね。どうしたの?
「・・・」
ところで、そろそろ8月の模試の結果が返ってきたんじゃない?
どうだった?
「・・・」
判定は?
「・・・」
京大の農学部は?
「・・・D」
おお、スゴい! やったね!
「え?」
「・・・なにがスゴいの? だってDじゃん!」
Dってことは、受かる可能性があるってコトだ。まるで可能性がなければE判定だし。
「でも合格確率20%以下だよ。これじゃ、ウチ、受かんないじゃん」
そんなことはないよ。じゃ阪大とか東工大とかは?
「・・・C」
ほら、やっぱり! 十分可能性はあるよ。
「なんで?」
だってミキちゃんは現役生だし、これからまだまだ伸びる伸びしろがあるからね。
夏の時点では、浪人生や中高一貫の超進学校の生徒などが大きくリードしているから、差が開いているけど、これからどんどん差は縮まっていくはずだ。
ミキちゃんは、今ようやく入試の試験範囲を全部学び終わった段階だろ?
これから、それを反芻(はんすう)して、試験で点数が取れるように、練習していけば、点数はドンドン上がっていく。
一方、浪人生や超進学校の生徒は、それをした状態で今の点数だ。
そこからさらに点数を上げるには、より難しいブレイクスルーを突破しなければならない。
それは早く勉強したから突破できると言うようなものじゃなくて、突破するには、いろんな気づきや発想の転換や決心などが必要だ。
これはもう、一部の人しか突破できない種類のモノだ。
だから、これから差は縮まっていくんだ。
「・・・」
プラトーを突破できるのは、限られた人だけ。
ミキちゃん、じゃあ、プラトーって、知ってるかい?
「プラトー?」
『高原』っていう意味だけど、一生懸命勉強したり練習しても一向に成績が上がらない状態のことだ。
「スランプのこと?」
スランプとは違うけど、似たような感じだね。
まだ上に段階があるのに、そこまでどうしても行けないっていう感じだ。
で、、プラトー状態になると、そこからさらに成績を上げるには、時間や質的な変化が必要なんだ。
たとえば英単語の応用力がない人の場合は、英単語力ができるまで次の段階には行けないから、これを身につけるまでは成績は上がらない。
これには時間もかかるし、やっても身に付くかどうかはわからない。
数学でも、各単元の知識を、他の単元の問題に応用・援用できるようになるには、勉強のやり方や考え方を変えなければならないけど、これだって、誰にでもすぐ会得できるようなコトじゃない。
要するに浪人生や超進学校生の多くは今の時期、一種のプラトー状態にあって、そこからさらに上に行くのはとても難しい。
でもミキちゃんみたいな普通の進学校の現役生の場合は、まだそこまで進んでないから、追いつくのは時間の問題だ。
『現役生は、試験の直前まで伸びる』っていうのは、そういうことだ。
だからしっかりやればミキちゃんにも、来年の2月頃には、彼らのレベルに追いついて、十分合格できるだけの学力ができてるよ。
「そ〜かな〜?でも、そのプラトーって言う状態になったら、次はどうすんのさ・・・」
そこから先は、考えても仕方ないよ。
だってもう一つ上のステップにいくのは、ある意味運任せだし。ミキちゃんの学問センス次第だから。
こういうモノは、やり続けていると、ある日突然できるようなものなんだ。だから、やり続けるしかないんだ。
もちろん、センセーやデキる人がやっていることを真似れば、ヒントは掴めるだろうけど、それを意識して練習して身に付くかどうかは、わからない。
野球のイチローの真似をすれば、何か学べることはあるだろうけど、イチローになれるかどうかは、また別問題だ。
だからとにかく、問題を解く・点数を積み重ねるというのを意識して、勉強していくしかない。
「ふ〜ん」
模試の成績で凹んで、やる気が出ないんなら、マラソンでもカラオケでも、とにかく身体を動かして、英熟語や計算問題に励んでごらん。
そうすれば、出口が見えてくるはずだ。がんばれ。