大量の問題をこなす」のは、最悪の勉強法?
「夢をかなえる勉強法」という本があります。
この本は、わかりやすい法律の本をたくさん書いておられる、伊藤真さんの本です。
私も、法学部でもないのに、昔、刑法入門を、しっかり読みました。
事件があって、因果関係があって、法律があって、それが立証されて、で、犯罪…という骨組みの話からはじまり、非常にわかりやすかったことを覚えています。
その伊藤さんが、(司法試験以外にも応用できる)勉強法をまとめたのがこの一冊。
最初は「全体像を把握する」からはじまり、非常にためになる。
この本の初めの方に、こんなことが書いてあります
「大量の問題をこなす」のは、最悪の勉強法。
どういうことかというと、司法試験の勉強をし始めた最初の1年に伊藤さんは、「とにかくたくさんやった」のですが、試験が全然できなかったといいます。
理由は、「ありとあらゆる問題をやっておけば、どんな問題にも対処できるだろう」と思って、山ほど問題集をやったが、「試験では、自分の知らない問題が出て、ぜんぜん解けなかった」からだと言います。
司法試験は、実際の判例などを元にして出題されるのでしょうが、裁判は一年にそれこそ何万とあるし、判例は毎年どんどん新しく出されるから、新しい問題はいくらでもつくれるわけです。
1年目の挑戦に失敗した伊藤さんは、そこで気づいたと言います。
「出題される問題は、2種類しかないんだ」
2種類?
「それは、自分が知っている問題と、知らない問題だ」
ダダダダ〜ン!!!!!!
そして、こう考えます。
「自分が知っている問題は、知っているから解ける。
知らない問題は、どう対処するかを見つけておけばいい」
そうして勉強して、2年目の司法試験では、見事合格。
そうして伊藤さんは、晴れて弁護士になったそうです。
いかに問題を解くか?
以前このメルマガでは、ポリアの『いかに問題を解くか』という本の内容を紹介しました。
この本は、数学の問題の解き方の手順を説明したものですが、未知の、初めて見る問題を、どう解くかということが、延々書かれています。
- 知っている問題か、そうでない問題か判断する
- 知らない問題なら、似ている問題を知っていないか思い出す。
- 問題をいくつかの部分に分けて、それに似た問題を知っていないか考える。
- 図や表を作って、どういう状態であるか把握する
- 少し簡単な問題に還元して、それを元に考えてみる(補助問題)
英文和訳でも、
- SVCの形なら、動詞をbe動詞に置き換えてみて考える、
- AofBの形なら、SVOかSVCの形に、読みほぐす、
- 関係詞は、思い切ってぶった切って2文にして訳す
- 分詞構文なら…
なんて言う様々なテクニックがありますが、そういう技を身につけることが、実は合格に近づく勉強なんですね。
伊藤さんの本は、読みやすく作られていますので、通勤の行き帰りにほとんど読んでしまいました。
でも、書かれてあることは重要なことばかりですので、しばらくは一つ一つそれを拾っていきたいと思います。
今回は「大量の問題をこなすのは、最悪の勉強法」というところでしたが、べつの項には、「量を積み重ねると、問題の型が見えてくる」という部分もあります。
量ではなく質だ、と言うのを、泥臭い勉強をしなくていい口実だと、勘違いしないように。勉強には、量も質もいるんです。