AFPニュースにこういうニュースが載っていました。
国連食糧農業機関(FAO)は28日、
世界の土壌の4分の1が「著しく劣化している」
とする調査報告書を発表した。
人口が爆発的に増える中、
食糧生産のニーズを満たすことが
困難になると警鐘を鳴らしている。
劣化の程度が大きかった土壌は全体の25%で、
劣化の程度が中程度だったのは44%。
「改善されている」土壌は10%に過ぎなかった。
FAOのジャック・ディウフ事務局長は、
「人類はもうこれ以上、必要不可欠な資源を
あたかも無尽蔵であるかのように
扱うことはできない」と述べた。
土壌の劣化が最も激しかった地域は、
南北米大陸の西岸地域、
欧州と北アフリカの地中海沿岸部、
サハラ砂漠南縁に位置する西アフリカのサヘル地域、
アフリカ北東部の「アフリカの角」地域、
そしてアジア全域だった。
また、劣化している土壌の約40%が、
最貧地域に位置していた。
AFPニュースより
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私が農学部に入った90年代後半には既に、
土壌劣化はもう深刻な状態に入っていると
すでに聴いていましたが、
いよいよ食糧減産のフェーズに入ってきたようです。
土壌劣化というのは簡単に言うと、
土から栄養素が抜けてしまって、
植物が育たなくなってしまう現象です。
こうなると化学肥料を投入しても収量が増えなくなり、
害虫などの大発生も招きます。
また土壌流出(エロージョン)と言って、
耕地の表土がドンドン流れ出てしまうと、
植物自体が生えない状態になってしまいます。
というのも農地と言っても地面を掘ると
土の層ってせいぜい1メートル弱くらいしかなく、
その下は岩だとか砂ばかりになっているからです。
わずか1メートル弱ほどの層の土がなくなってしまうと、
農地としてはもう使えないんですね。
こういう土壌流出というのは、
大規模に農業をやっているところで起こりやすくて
だから逆に言うとエロージョンが発生すると、
一気に穀物生産が落ち込んでしまいます。
中国が戦争を始める?
このメルマガでは何度か書いていますが、
日本の穀物自給率は、たったの27%しかありません。
穀物の7割以上を輸入に頼る我が国は、
何もしなければまともに
穀物不足に直面することになります。
政府や経済産業省が穀物輸出国が多いTPPに
参加を急ぐのも危機感の表れなんでしょう。
穀物輸出国との関係を強化しつつ、
穀物を買う金を稼がないといけないわけですし。
しかしカロリーベース食料自給率なんて
ワケの分からない指標を作って、
日本で食糧自給が可能なように装っている官庁の反対で
交渉はそう簡単にはまとまらないでしょう。
日本で穀物を完全自給するのは無理です。
日本の食糧自給率が100%を越えていた江戸時代の人口は、
たったの3千万人だったわけですから、どう考えても無理。
米だって、いくら生産性が上がったと言っても、
明治の初めのヘクタール当たり2トンが、
ヘクタール当たり5トンと2倍半になっただけです。
となると日本国内で生産できる食糧は
農地利用率を150%まで引き上げたとしても、
せいぜい7千万人分から8千万人分が限度のハズ。
外国の農地の荒廃は、よそ事ではありません。
折しも中国が一人っ子政策の転換を発表しましたので
これからは本格的に中国と争って
穀物を奪い合うと言うことになりそうです。
中国は食糧不足は絶対阻止するでしょうから、
何がなんでも日本には絶対に譲りません。
なぜなら中国国内で食糧不足が起こると、
共産党政権自体、崩壊しかねませんので
譲りたくても譲れないのです。
1970年代後半の食糧不足は、
西側諸国に市場開放することで何とかなりましたが、
2010年代後半の食糧不足は、もはやそれでは無理。
世界中を敵に回してでも、食糧をかき集めるしかない中国。
中国からの土壌劣化のニュースが増えたら危険信号ですね。
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