先週、レスター・ブラウンの本の話を書いたので、
中身はどうだったっけかなと思って、
amazonで取り寄せて土曜日に読みました。
WHO WILL FEED CHINA?
「だれが中国を養うのか」という本です。
この本は1995年頃に書かれた本なんですが、
人口大国・中国が、穀物輸出国から
巨大輸入国に変わったら、世界は持つのか?
...というテーマの本です。
で、この本のレスターブラウンの推計によると、
2030年には中国の需要増で、
世界全体で、3億トンから4億トンくらいの
穀物増産(米・麦・トウモロコシ)が必要になるだろう。
また中国以外の中進国の発展分を考えると、
さらに2億トン弱の穀物需要が生まれるだろう。
...と言うのが結論です。
で、2010年現在の中国の穀物輸出入量を
調べようと思ったんですが、なかなか情報がないので、
FAO(国連食糧農業機関)のデータベースで
検索してみました。
★FAOSTAT(世界の農産物生産と貿易の統計)
簡単な使い方は「FAO日本事務所」からダウンロードできます。
FAOSTATの説明ページ
データベースでは項目ごとにかなり詳しいデータがあるんですが、
簡単に農産物の輸出入を、金額ベースでグラフにしてみました。
(グラフ、誤って消してしまいました。すみません)
1990年から2008年までのデータをエクセルでグラフ化しましたが、
明らかに2002年から本格的に輸入超の傾向が出ていますね。
今はもう、輸入が輸出の2倍以上になっています。
レスター・ブラウンの本によると、日本や韓国・台湾のように、
ある程度の農学的人口密度が高い国が工業化した場合、
既にある農地が潰されて道路になったり住居になったりして、
農地が半分に減るという風な事が書いてありましたが、
中国でも実はそう言う方向だって事なんです。
(農学的人口密度というのは、
一人当たりの農地面積で算出する指数です)
日本や韓国や台湾、中国というのは、工業化の前に
農業に適した土地はどんどん開墾されてしまって、
新たに農地を増やすことが難しいので、
工業化が進むに連れて
農地を潰して都市化が進むって言うんですね。
そして野菜生産や畜産というのは、
狭い土地でも儲かるので残るんですが、
穀物生産というのは、儲からないので、
穀物農地がどんどん他の作物に転作したり、
工場や商業地に変わって農地が減る。
そういうことで、2030年には、1990年に比べて、
4億トンから5億トンの穀物増産がないと、
食糧の国際価格が跳ね上がり、
それによって貧しい国の国民が
穀物にありつけなくなるって事ですね。
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