AFP通信のニュースに、こういうのがありました。
「米最富裕層1%の所得、30年で3.75倍に 格差拡大」
国の最富裕層の収入は、1979年~2007年に
最貧困層の15倍のペースで増加したとの報告を、
米議会予算局が25日発表した。
これによると、上位1%の最高所得層の所得が
全国民の所得に占める割合は、
8%から17%へと2倍以上になった。
また最高所得層の平均税引き後収入が275%伸びた一方、
下位20%の最低所得層では18%しか伸びておらず、
60%を占める中間所得層の伸びは40%弱にとどまった。
また、国民の総所得の80%以上が
所得上位20%の富裕層に集中しており
格差が拡大している事実が浮き彫りになった。
この期間、政府の政策は富の再分配を抑える方向に向かい、
07年の再分配効果は79年に比べて小さくなっている。
引用もと→ http://tinyurl.com/3zjnn36
この記事を見た人の反応は、
恐らく2通りでしょう。
まず
「富が一部の人間に集中している、けしからん」
と思う人。
この反応をした人は恐らく、
経済に関して知識が全然ない人で、
この記事がどういう意図なのか考えない人。
「なんかこの記事、おかしいぞ?」
と思った方、経済や社会学をとても勉強している方。
というのもこれってパレトー(Pareto)の法則では
全然普通の社会や経済の状態だからです。
普通の状態なのに、なぜ
普通じゃないと言い出しているのか?
そこに何か意図的な不自然さを感じるんです。
パレトーの法則(パレートの法則)
実は
『国民の総所得の80%以上が
所得上位20%の富裕層に集中』
...というのは経済学・社会学的には
ものすごく自然な状態なんです。
これは失業率が絶対にゼロにならないのと同様の、
自然な経済状況なんです。
要するに「当たり前ジャン、それが何か?」という状態。
富がこういう風に2:8前後で偏っているのは、
イタリアのパレトー(Pareto)が
20世紀の初めに見つけた法則で、
俗に「2:8の法則」(ニッパチ)なんていいます。
ビジネスの世界では、
これはかなり昔から知られている法則で、
私が見たスーパーなどの顧客分析では、
35%:65%だったように記憶しています。
つまりスーパーに来るお客さんの35%が
そのスーパーの売り上げの65%の買い物をしている。
スーパーの場合、ビックリするような高額商品がないので、
2:8からだいぶずれている印象ですが、
百貨店だともっと2:8に近づきますし、
利益ベースで考えるともっと2:8に近づきます。
つまり利益の8割は2割のお客さんから頂戴している
と言うことなんですが、逆に言うと、
「2割の人間が、8割の買い物をするだけの経済力を持っている」
...と言うことで、パレトーの法則の妥当性がわかりますね。
なのにニュースになるって言うのが、なんか不自然。
これは裏に何かあるのかも?
...と眉につばを付けて見るのが正しい見方かと。
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