グリーン・メイル

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 企業の乗っ取りに対し、乗っ取り屋が買収した株式を高値で買い戻すということはよく行われる。

 

 そしてそれに加えてその株式買収にかかった費用も企業が負担するということもよくある。

 

 これらは結局乗っ取り屋に金を掴ませ、乗っ取りを断念させるという策で、そのために要した金(株買い戻しのプレミアム分+α)を「グリーン・メイルgreenmail」と呼ぶ。

 

 ウオルト・ディズニー・プロダクションは1984年の初め、フォーソール・スタインバーグに株式を37%を買収されかけた。

 

 スタインバーグは市場株価一株50ドルだったのものを、一株67ドル50セントで37%まで買うというオファーを提示し、ディズニー株を買い上げようとした。

 

 これに対しディズニー側は同氏の既に収得した株式を一株当たり70ドル83セントで買い戻し、さらに「投資経費」という名目で2,800万ドルを支払うことで合意した。

 

 日本でもテレビ朝日の株式を孫正義氏とマードック氏が買った時に、同様のことが行われた。

 

 しかしこれらは道義上・或いは倫理上正しい行動であるとは認めにくい。

 

 明らかなグリーン・メイル目的での買収であれば、幾分それは納得されうることであるが、しかしその背景には「企業の業績が悪く株価が低い」という現実がたいていある。

 

 現経営陣の経営が正しいのか、それとももっと利益が上がるのに経営者が怠慢して、その結果株式買収のターゲットになったのか。

 

議論の余地は大きい。


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自発的なリストラクチュアリング

 1980年代の企業買収ブームの中で、経営者達は企業の資金調達構成などを中心に、自発的なリストラを始めるようになった。

 

 すなわち企業の業務をフォーカスし、自己資金(エクイティ・ファイナンス:株式発行による資金調達)の比率を減らし、借入金とインセンティブ契約を増やすことが、有力な乗っ取り防止策であると確信するようになった。

 

 具体的には・無用なコンゴロマリット化を避け、本社が何によって利益をあげるのかをハッキリさせる。

 

 各事業部の経営チームにはその事業部の業績に応じたボーナスを 支払い、事業部ごとの経営の効率化を図る。

 

 業績の悪い部門は切り離し、別会社としてスピンアウトさせる。

 

 これは業績の悪い部門が余分な補助金を本社からせびろうとするインフルエンス活動やインフルエンス・コストを削減するということだ。

 

 要するに事業の優先順位をハッキリさせ、インフルエンス活動でようやく採算がとれているような部門はさっさと切り離して、経営資源を本職に重点的に配分する、ということである。

 

 1980年代の買収ブームは、企業の経営者にその役割を再認識させ業績を上げることが一番の任務であることを再確認させる結果となった。

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