消費計画

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 前回の続きですが、この章の視点についての説明の部分が抜けていました。

 

よむのでRから転載しておきます。

 

「文明が進むにつれて我々は分業によって社会を支えるようになった。

 

分業化された仕事を専門的に請け負うことによって、各自が自分に必要な財やサービスを一から作る場合より、はるかに多くの財やサービスを作りだし、手にできるようになった。

 

 だがしかし、分業化され専業化が進みすぎたため、全体をコーディネートすることがとんでもなく煩雑で大がかりになってしまった。

 

 しかし自由主義社会に置いては、共産主義国のように中央政府が財やサービスをコントロールしてコーディネートしているわけでもないのに共産主義国よりはるかにうまくそれがコーディネートされている。

 

 巨大でグローバルな地球規模経済でなぜそんなことが達成可能であったのか、この章では自由市場の働きについて考えてみる。

 

 

消費計画(復習)

 一人一人の消費者の持つ財や提供できるサービスのリストをベクトルEで表そう。

 

 たとえばE1:お金E2:労働力E3:土地や貴金属など金銭以外のストックE4:知識E5:食費や光熱費、家賃(生活必需品)E6:自家用車(趣味・嗜好品)とすると、ベクトルEは E=(E1、E2、E3、E4、E5、E6)となる。

 

 実際にはEの要素Eiは、この世にあるありとあらゆる財やサービスのことであり、とんでもない品目数になるのだ。

 

 しかし、ここでは簡単に六要素で表してみた。

 

 そしてこの人がある月に市場に提供した(つまり売った)労働力や知識や資産などの財やサービスなどのリストをS、また逆に市場から手に入れた報酬や知識や資産などの財やサービスなどのリストをBとする。

 

すなわち S=(E1’、E2’、E3’、E4’、E5’、E6’) B=(E1、E2、E3、E4、E5、E6)である。

 

 ただし持っていないモノは原則として売ることができないので、Sの要素であるE1’はE1’≦E1、Ei’はEi’≦Eiである。

 

 さて市場でモノを売り買いする場合は、モノの値段が決まっていなければならない。

 

そのリストをPとすると、ある人が自分の所有するものを売って得た金の総額は、PS=Σ(Pi・Ei)となり、逆に支払った総額はPB=Σ(Pi・Ei)となる。

 

 株式などを持っていればその配当金なども同様に考える。

 

 つまり企業jの株式を割合F(0≦F≦1)だけ持ち、企業jの配当総額がDならFDだけお金を受け取ることになる。

 

つまり  FD=Σ(Fj・Dj) である。

 

 さてある人にとってPB≦PS+FDならそれは「購入可能」である。

 

そして効用のために消費する財やサービスのリストCというものがあれば、各人はそのCに従って効用U(C)を得ることになる。

 

 人々はそうして自分の買いたいモノを考え購入する。

 

これを「消費計画」という。

 

 新古典派モデルでは、人々は購入可能な範囲でその人の満足(効用)を最大にする選択をとるものと仮定している。

 

 、つまり「どんな消費の仕方をしても、もう少し欲しいと思う財やサービスが必ず存在する」(局所的満足非飽和)ということが仮定され、その結果人々は「所得を全部使い果たす」と考える。
※PB=PS+FDというのは、要するにたいていの人間は、お金があったら使うし、貯金があってもそれはいずれ何かに使うだろう、、、ということですね。


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生産計画

 では企業はどう生産を行うか。

 

 企業には、生産するモノのリストであるベクトルO(output)と、それを作るために必要な投入物のリストのベクトルI(input)が必要だ。

 

 企業が利用可能な技術でIからOを生産できるなら、「生産可能である」と言うことになるが、生産可能な生産の組み合わせ(IO)は一つとは限らない。

 

だから生産可能な組み合わせの集合をTとすると(IO)∈Tである。

 

 さて価格Pが所与のものとすれば、消費計画のところでやったのと同様の定義により、産出物の販売から得る企業の総所得はPO、労働者に支払う賃金や原材料の購入資金やその他の支出はPIとなる。

 

 そこで新古典派モデルでは、企業は利潤にのみ動機づけられていると仮定して、生産可能な組み合わせ(IO)の中から利潤である(PO-PI)を最大にする生産計画を選択するとする。

 

 そして企業は実際に生産を行い株主に配当Dを支払うわけだから、D=PO-PI となる。

 

■注: この私有制経済モデルでは、以下の条件を仮定している。

 

 すなわち1)各企業は生産可能な生産計画によって生産する。

 

 (つまり生産不可能な生産には投入物を投入しないものとする)2)各消費者は、消費計画が定める財やサービスを提供できる。

 

逆に言えば労働力は存在する労働力以上提供できないし、存在 しない原材料は使えない。

 

だからS≦Eである。

 

3)この経済で取り引きされる各財の総量は、この経済の入手する 総量を上回らない。

 

つまり消費者が購入したり企業が投入したり する財やサービスの合計ΣB+ΣIは、消費者が売りに出したり 企業が生産したりする財やサービスの合計ΣS+ΣOより小さい。

 

 ∴ ΣB+ΣI≦ΣS+ΣO 

 

競争均衡(コンペティティブ・イクウイリブリウム)

 

 市場を通しての取引は、供給と需要のギャップを埋める方向に調整圧力がかかり、価格によって需給バランスをとろうと動く。

 

 要するにみんな得はしたいが損もしたくないので、それらが最小になる方向に価格が決まる。

 

調整圧力がなくなった状態を特に「競争均衡」と呼ぶ。

 

 この状態では消費者が売りに出した労働力などの財やサービスや企業の生産物の合計(つまり総供給)と、消費者が手に入れた賃金や企業の投入物の合計(つまり総需要)が均衡する(つまり量的に等しくなる)から、 ΣS+ΣO=ΣB+ΣIとなる。

 

 そうしてこの(PBSIO)が競争均衡における価格リストと諸計画の組み合わせであるとすると、その配分は効率的であると言える。

 

 これを特に「厚生経済学の基本定理」という。

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