資産効果

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 資産効果というのは消費者が持っている資産の変化によって購入する財やサービスやその購入量が変化するという現象のことである。

 

 収入が増えると人はその分贅沢な行動をとりやすい。

 

 今まで買わずに我慢していた高価な商品を買ったり、最小限ですませていた以上にものをたくさん買ったりということをよくする。

 

 このような「持っている資産の変化が消費者の選択を変化させる効果」がすなわち「資産効果」である。

 

 貧しい人は裕福な人より金融リスクを避ける傾向が強いが、そのような現象も資産効果の一部である。

 

 だが経済をモデル化する場合、資産効果があると話はややこしくなる。

 

 なぜなら財やサービスに対する価値観はより主体的になるし、嗜好品やレジャーなどの万人にとって価値があるとは思われないものに対しても高額な対価が支払われるようになるからである。

 

だから話を簡単にするためにまず、「資産効果がない場合」という場合を考えることにする。

 

 これは物理で言う「大きさは0だ。

 

 しかし、質量はある「質点」」や、化学で言う「理想気体」のようなモノを仮想し、簡単なモデルから話を始めていこうというアプローチと同様であると考えればよい。

 


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資産効果がない場合

 そういうわけで簡単なモデルを作るために資産効果がない場合という条件を作ってみるわけであるが、その条件とはまず、1)どんな選択肢( y1、y2 )が与えられた場合も、y1からy2、或いはy2からy1へ移行する場合の補償金額が定義できること。

 

次に2)意志決定者が追加的な資産を与えられたとしても、1の補償金額が変わらないこと。

 

最後に3)意志決定者はより望ましくない選択肢からより望ましい選択肢に変更する場合に支払う補償金額を充分支払えること。

 

ということである。

 

 なんだか面倒くさく書いてあるが、もっといい加減に書けば「金で解決できる問題で、その解決金額が決定できること」、「意志決定者のふところ具合の変化でその補償金額が上がったり下がったりしないこと」、「補償金を支払うだけの金銭的余裕があること」ということである。

 

 一番目の定義は、社会的に見てあくまでも妥当な金額が決定できるということで、コースの定理の話のところで例として上げた「騒音と振動を出す工場と、その工場に隣接する学習塾備校)」の「工場或いは塾の移転費用」や「工場或いは学習塾の防音防震工事費用」のように、明確に補償金額が算定できると言うことである。

 

 二番目の定義は、意志決定者がお金持ちだから補償金額が少な目になったり、貧乏人だから補償金額が高額になったりしないということで、取引の途中で思わぬ出費や収入があってもこの取引にかかわる補償金額が変わらないということである。

 

 三番目の定義は、補償金額が支払う側の資産では到底支払えないような金額ではない場合と言うことである。

 

 200万円しか収入のない個人に対して一億円支払えと言っても支払えないから、この場合は取引自体ができなくなってしまうのである。

 

 このように取引の主体が個人で多額の金銭の移転が生じる場合、資産効果がないという仮定はあまり現実的ではないが、それ以外の場合にはこのような仮定は充分現実に近いものだと考え得る。

 

(つづく)

 

今日のまとめ

 

 

 

 資産効果というのは消費者が持っている資産の変化によって購入する財やサービスやその購入量が変化するという現象のことである。

 

 しかしモデルを建てるに当たって資産効果を考えるとややこしいので、まず資産効果がない場合というのを考える。

 

 資産効果がない場合とは「金で解決できる問題で、その解決金額が決定できること」、「意志決定者のふところ具合の変化でその補償金額が上がったり下がったりしないこと」、「補償金を支払うだけの金銭的余裕があること」ということである。

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