貧乏人の正体~良家の娘は良家のオトコと結ばれる

空を自由に飛ぶ鳥は、落ちることなど気にしない

空を自由に飛ぶ鳥は、落ちることなど気にしない

空を自由に飛ぶ鳥は、落ちることなど気にしない

 アカイさんは結局、学部を卒業して大学院に通っている間に、その「ちっとも美人じゃない子ダヌキみたいな女の子」と結婚した。親兄弟など周囲に反対を押し切ってではなく、双方の親達にせかされて、である。

 しかしアカイさんがなぜディスコで知り合った美人の彼女ではなく、子ダヌキみたいな女の子の方を選んだのか。そして彼らの親たちはなぜ、社会にも出ず稼ぎもない彼らに喜んで学生結婚をさせたのか。当時のボクには、全く理解のできない事であった。

 もちろん学部を出てしばらくしたら当たり前のように結婚し、大過なく暮らしているヤツらはたくさんいる。大学に残り研究者となる人間の中には、学生結婚し社会には一度も出ないまま所帯を持つことも多い。

 実際ボクの知ってるヤツにもそうして結婚した連中が何人もいるし、また、たまに昔の知り合いや遊び仲間が集まる機会でもあると
「あのコとアイツ、やっぱり結婚するんだって!」
「ふーん、やっぱりなー。学生時代からちょっと怪しいかったもんなー。『つきあってるワケじゃない』なんて言っときながら、ヒマさえあればいつも一緒にいて嬉しそうに話してたし!」
なんていう話もよく耳にした。

 だがしかし、そんな話を見聞きするたびに、ボクはいつも奇妙な気分になった。と言うのもボクにはそんな彼ら彼女らの行動がどうしても納得がいかず、そしてさらにそんなに簡単に結婚してしまっていいものかと、いつも疑問に思っていたからである。

 結婚と言えば人生の一大事である。良き伴侶と巡り合うことができれば、幸福な人生は半分約束されたようなものだし、逆に悪しき異性と結ばれれば死ぬまで後悔して暮らすこと必至である。

両親が不仲で、しかも救いようのないケンカをしていた家庭で育ったボクが、普通の家庭に育った人間より結婚に懐疑的なのは確かであるが、しかしそれにしても彼らの行動は、少し軽率なように思っていた。

そして当時のボクには、彼らの決断がうかつな若者にありがちな、勢いに任せた結果オーライな行動のように見えた。

 彼らは一体なぜ、そんなに簡単に人生の伴侶を決めてしまえるのだろう。そしてまたなぜそれで、彼らは大した支障もなく暮らしていけるのだろう。

 ボクには彼らの結婚に、単なる早婚とは根本的に異なる「何か」があるように思えて仕方なかった。
生まれたときから持ち合わせていたその「何か」によって彼らが惹かれ合い、そして幸せに暮らしているように思えて仕方なかった。


空を自由に飛ぶ鳥は、落ちることなど気にしない
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