不用心? それとも社交的?

不用心? それとも社交的?

不用心? それとも社交的?

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『そうすると何か?
全員がユカリさんとは知り合いなのだけど、
みんな他の誰とも全く面識がないってことか?
何でこのコそんなに顔が広いねん。

 

それに何でこのコそんなヤツらを、
平気で夜中に部屋に入れれるねん?』

 

ボクは心の中でそう思った。

 

ユカリさんには高校時代からの決まった彼氏がいて、
そしてやはりその彼氏も同じ大学に通っていたのだが、
その日はその彼も一度も顔を見せなかったし、
電話さえかかってこなかった。

 

だから正直「ユカリさんって一体?」と言う感じであった。

 

しかしさっきも書いたように、
ベッドの上には洗濯物の下着を出しっぱなしであったし、
本人もさっさと色気のないラフな恰好に着替えて、
さっさと麻雀に興じていた。

 

だから彼女がいつも通りリラックスし、
いつも通りに遊んでいるのは確かであった。

 

「うーん、お金持ちの娘っていうのはみんな、
こんなもんなんやろか?
それとももしかしてこの娘だけが特別なんやろか?
しかしそれにしても…」。

 

ボクは彼女の様子をボーッと眺めながら、
この女性は男性に対し恐怖感を持っていないのかなあ、
などとそんなことばかり考えていた。

 

確かに彼女はそんなに魅力的な女性でもなかったし、
前にも言ったような告白せずにおれないような可愛い女のコでもなかった。

 

顔立ちは確かにスッキリしていて十人並だが、
中身はどちらかといえば世話好きな面倒身のよい「オバサン」的な人だった。

 

だから実際彼女と二人きりになっても、
なかなか誰も彼女を口説こうなんていう気は起こさなかっただろう。

 

だがしかしそれにしても二十歳すぎの若い女性である。

 

ただの女のコである。

 

そんな彼女が真夜中に何人も男を自分の部屋に集めて入れて、
そんな風にリラックスしながら麻雀できようとは…。

 


その日はもちろん小心者の貧乏人の考えるような、
つまらない事件は起こらず、
そしてまた密かに狙っていた国士無双もあがれなかったけれども、
何だか妙に記憶に残る一夜であった。

 

帰りはその府立医大生と言う男性の車に乗せてもらい、
潰れかけの下宿まで帰ったのだけれど、
その人も「なんだか今日は変な麻雀だったね」などと言っていた。

 

「しかしユカリさんて顔が広いんだねー!
ボクもびっくりしちゃったよ」とその人が言うのでボクも
「お金持ちって知り合いが多くなるもんないですかねえ、
やっぱり?」と逆に聞いてみた。

 

すると彼はちょっと考えて「逆に知り合いが多いからこそ、
お金持ちになるのかも知れないよ。

 

友達が多いと色々情報も集まりやすいし、
ない知恵だって絞れる。

 

そこのところはボクにもよくは分からないけど、
きっとそういう相乗効果っていうヤツがあるんでしょーねぇ」。

 

そんな会話をしてボクはその人と別れ、
ユカリさんのマンションに住んでいるあの
犬の寝床と大してかわらないような自分の部屋へ戻り、
そして寝た。

 

ユカリさんのマンションには、
それからも何回か誘われて遊びに行ったけれど、
その夜会った人達とは二度と顔を会わせることはなかった。

 

しかし麻雀をして遊びたいがために、
彼氏以外の男性を三人も自分の部屋へ招く。

 

ワガママなんだか不用心なんだか。

 

たくましいんだか、
それとも安全なオトコを見分けるだけの目があるのか。

 

とにかく「金持ちの娘のやることはようわからん」という、
そんな不思議な気分の出来事であった。

 

NEXT:ユカリさんを見て知った裕福な人間の正体

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