第7章、 貧乏人とカラスは、 ガラクタばかり集めたがる

第7章、貧乏人とカラスは、ガラクタばかり集めたがる記事一覧

ボクが大学に入った頃のことである。ヤグチ君から「入学祝いをしてあげるから、ウチに来い」と招待されたことがあった。ヤグチ君と言うのは少年時代を、同じ団地で過ごしたボクの友人である。彼は前の年に現役で京大理学部に合格し、学者への道をばく進していた。「幼なじみなんだし、これからまた同じ学校に行くんだから、いっぺん遊びにおいでよ」彼のお母さんにもそう誘われ、社交性の全くないボクも腰を上げた。そうして建てて...

そうこうしているうちに時間がたち、ヤグチ君のお母さんに呼ばれて、階下に下りていく途中で、ボクは踊り場に見慣れた古い楽器が置いてあるのに気づいた。それは「B5」という型の古いエレクトーンで、ウチがまだ普通の家庭であったころ、ヤグチ君の家と共同で先生を呼んで、子供たちに音楽を習わせた時に月賦で買った、一番初期のころのエレクトーンであった。今のエレクトーンは当たり前のようにFM音源で、当たり前のようにリ...

ドリトル先生航海記にしても、エレクトーンにしても、それはボクらが共に遊んだ小学生の頃に、親に買ってもらった代物である。そのころはまだウチの父親もちゃんと働いていて、そしてウチもちゃんとしたサラリーマンの家庭ごっこをやっていた。ウチはそれからどんどん没落していったが、彼の家は順調に暮らしていたはずである。だからそれ以降も彼の家ではいろいろなモノを買い、そして財産を殖やしていったはずであった。高校時代...

家に帰ってから、ヤグチ君の実家の広々とした様子を思いだし、そしてそれと自分の部屋や実家の様子と比べてみると、明らかに自分の部屋や家にあるのは、ガラクタばかりのようであった。ウチの実家に置いてある家具は、デカくてセンスの悪いモノばかりだし、敷いてあるカーペットだって何も考えずに買ったような緑色の、しかも掃除しづらいモノである。天井も低いし中途半端な高さのガラス棚や、三面鏡をゴテゴテ置いているために、...

「それじゃあ、一体どうして貧乏人はガラクタばかり買ってしまうのだろう?」ボクはしばらくそれを考えていた。そしてある仮説を立ててみた。貧乏人は、モノの値打ちがよくわからないらしい。貧乏人にはそういうセンスがないのだ。そういう才能がないのだ、と。「じゃあどうして、貧乏人にはそういうセンスがないのだろう?」そう考えた時に真先に思い浮かんだのは、ヤグチ君のお母さんのことであった。前述したが、ヤグチ君のお母...

ボクはなぜか、レンタルビデオで、何度も同じビデオを意図せず借りてきてしまう。新しいビデオを借りようとして借りてくるのに、帰って見てみると「あ、これ前に見た」という風になってしまうのである。この原因は似たようなビデオがたくさんあって、どれを見たのかどれをまだ見ていないのかが区別できないからである。しかし自分の趣味が実は、非常に限られた狭い範囲に偏っているということも大きな要因だろう。ボクは、ジャッキ...

では貧乏人はどうすれば、ガラクタをつかまなくてすむようになるのか。同じビデオを二度と借りずにすむ方法なら簡単である。手帳かなにかに今までに借りたソフトのタイトル名を全部書き出して、そのメモを見ながら重複していないか確かめてビデオを借りればいい。そうすれば確実に解決する。こうすれば間違いなくこの問題が解決できるということは誰にでもわかる。これはつまり例の「買い物上手な主婦」のやり方と同じである。ただ...