組織の経済学/ポール・ミルグロム&ジョンロバーツ
組織の経済学/ポール・ミルグロム&ジョンロバーツ
人間はなぜ組織を作るのか。組織の中で個人はどのように動くのか。そして経営者と組織自体はどういう方向に自らの形態を変えていくのか。経済学の観点から学びます。
テキストとしてポール・ミルグロム&ジョンロバーツ箸の「組織の経済学(NTT出版)」をご用意下さい。
本書は、当代一流の経済学者が書いた組織論のテキストブックである。テキストブックと言っても、日本によくある並みの教科書ではない。先端の理論を豊富に盛り込み、記述の密度が高い良書だ。 本書の論述は厳密だ。アカデミックな研究の第一線に触れる内容が含まれている。だから気楽に読み進めるというには、ちょっと重たい内容だ。本自体が700ページにおよぶ大著でもある。しかし経営実務に携わっている人たちや学生が、この際少しまとまった時間をかけて「挑戦」してみようというのなら、おすすめしたい本だ。理論的論述が充実しているだけではなく、興味をそそるエピソードや事例も随所に盛り込まれていて、読者に対する配慮を忘れていない。 経済学者は伝統的に市場における取引に注意を集中してきた。しかし今では多くの経済活動が市場取引ではなく、企業という組織の内部で行われている。その組織内部の現象にスポットを当てて、基本的には経済学的視点に立ち経済学的分析ツールを駆使して議論を体系化している。 強いて言えば、本書で取り上げられているトピックの多くは、やや古い。日本で経営学とよばれるビジネス・リサーチの世界では、すでに主要トピックではなくなったものが、本書のトピックの多くを占めている。経営学では新製品開発、事業創造、ビジネスモデルの競争、経営イノベーションが主要テーマであって、議論の対象がきわめてダイナミックだ。たとえばゲーム理論の応用を考える場合も、本書で議論されている組織内部の現象より、むしろ競争戦略やビジネスモデルとの関連が議論されたら、はるかにおもしろかっただろう。 とはいえ組織論の教科書として、これは第一級の本である。こういう高水準の教科書が出版され、そしてアメリカで売れていることは、かの国の高等教育がきわめて質の高いものであることを示唆している。(榊原清則)
組織分析の必読書
購入を考えておられる方、すでに購入された方、このボリュームに圧倒されること必至と思いますが、思ったよりもスムーズに読めるのは、良質のアメリカ産教科書に共通する、わからせるための工夫が随所にみられることと大いに関係があるでしょう。最近、この点を反映して、日本語で書かれた教科書でも、すべての分野において良書が増えてきているようにも思いますが、ある意味「工場的」な、つまり、学生は優秀な人間とは限らない、と仮定しているアメリカ的人材養成思想に比べて未だしの観があります。
理解には大学初級レベルの数学の知識が必要な箇所が若干ありますが、その部分は難しい方は無視されても大勢に影響はないかと思われます。ほとんど経済学の予備知識はなくとも読破するのに支障はありませんので、一日一章と決めて地道に読めば独学での読了も問題なく可能かと思います。
わたくしは本格的な経済学の教科書を読んだのは初めてでしたが、そのような方にこそお勧めしたい良書だと思います。決してかけた時間を後悔することはないと思います。
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