組織の経済学・マレニヨム

組織内部の労働市場

組織内部の労働市場

組織内部の労働市場

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        組織の経済学・マレニヨム!

          第090回(2001/08/27)

            雇   用

         「組織内部の労働市場」

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 人間はなぜ組織を作るのか。組織の中で個人はどのように動く
 のか。そして経営者と組織自体はどういう方向に自らの形態を
 変えていくのか。経済学の観点から学びます。
  テキストとしてポール・ミルグロム&ジョンロバーツ箸の
 「組織の経済学(NTT出版)」をご用意下さい。BNは↓
  http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/
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 ここからは昇進や昇給、配置転換といった、組織の内部で生じる
「競争」「市場」についての話です。納得行く話が多く、結構面白
いです。

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          組織内部の労働市場

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■内部労働市場
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 日本の終身雇用制度ほどハッキリしているわけではないが、先進
諸国では多くの労働者が長年に渡って同じ会社や企業に勤めている。

 アメリカの労働者は平均して同じ職場に八年間勤めているし、ま
た二十年以上同じ職場で働いている人間も四分の一以上いる。

 実際勤続十五年以上の労働者の割合は、実は日本よりアメリカの
方が高い。

 また勤続二十年以上の労働者の割合を比べてみると、アメリカよ
りイギリスの方が高いというデータもある。

 このような労働者は、一つの企業内で昇給したり昇進したりとい
うことに大きな価値観をもっていると考えられるが、長期雇用して
いる雇用主の方も多かれ少なかれ労働者に長期に渡って仕事をして
もらいたいと考えている。

 このような場合に「内部労働市場」が生じる。

 内部労働市場(インターナル・レイバー・マーケット)の特徴は、

1)長期雇用関係
2)雇用のための限られたエントリー・ポート(就職門)
3)企業内キャリアパス
4)内部昇進

である。

 内部労働市場という考えは、1970年代にドリンジャーとピオーレ
によって経済学に導入された考えである。

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■労働一次部門、労働二次部門
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 彼らの考えによると、労働市場は「一次部門」と「二次部門」に
分かれるという。

 一次部門は熟練を要する仕事。

 たいていのホワイトカラー、一部の職人的技術を要するブルーカ
ラー。技術者。などなど。
 
 一方二次部門とは、さほど熟練を要しない仕事。

 たいていのブルーカラー、事務処理のみのホワイトカラー。アパ
ートの雇われ管理人やスーパーのパートタイマー。季節労働者。
などなど。

 そして内部に労働市場が生じるのは、一次部門の方であるという。

 一次部門では労働者に独立性があったり権限があったりする。

 二次部門では労働者はやや従属的で、仕事や任務に対する決定権
が小さい。

 つまり一次部門とは「部下やアルバイト・パートを指揮して仕事
をするような労働」であり、二次部門とは「他者に雇われて比較的
単純な仕事を行うような労働」というわけである。

 もちろん一次部門でも内部労働市場が生じない場合はあって、た
とえば独立開業している医師や弁護士は一次部門の労働者であるが
内部労働市場は生じない。

 これらの職業は誰かに指図されて働くわけではないので一次部門
であるが、独立しているのだから組織内部で起こる内部労働市場で
はなく、外部市場に影響を受ける(あたりまえだ)。


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■内部労働市場における給与
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 二次部門の労働者は、外部労働市場に大きな影響を受ける。

 仕事内容が比較的熟練を必要としないので、社会全体の賃金水準
が下がれば「雇い替え」が起こる可能性があるのだ。

 だが一次部門の内部労働市場における給与は、外部労働市場とは
切り離されている。

 内部労働市場では従業員の能力や効率に応じて賃金が支払われる
のではなく、割り当てられた仕事内容(職種)によって報酬が決ま
るからである。

 つまり組織内では「社長は○○万円」「副社長は○○万円」など
と言う風に給与が決められ、そして給与水準は段階的に決定される。

 たとえばスタンフォード大学では、B7~B24、C4~C10、N11、など
という職能カテゴリーがあり、27段階の職能とそれに支払われる給
与がある。

 カテゴリーBは「非免除職(ノン・イグゼンプト)」と呼ばれ、
要するにタイムカードで出勤状況が把握され、残業などの手当てが
キチンと支払われる労働者で、カテゴリーCは残業手当などが支給
されない管理職や専門職、あるいは技術職・監督職である。
 大学の職員はそれぞれのカテゴリーの下位の職種から仕事を始め、
そして次第に高給の任務を任されると言う形で昇進する。

 だがしかし、B9の職種の職員がB10の職員より給料が安いとは限ら
ない。

 そこにはわずかであるが年功や熟練度による上乗せがあって、ベ
テランのB9の職員は新米のB10職員よりたくさん給与をもらってい
ることがある。

 またこのランキングは給与に関するものでしかなく、仕事上の命
令系統の上下を意味しない。

 つまり同ランクの報酬の職員であっても、職種が異なれば片方が
上司でもう一人が部下と言うことになる場合もある。

 たとえばデザイナーが経営者より高い報酬を取ったりするような
ものである。

 つまり内部労働市場では、命令系統の上下関係によって構築され
る「任務ヒエラルキー」と、報酬の多い少ないによって構築される
「報酬ヒエラルキー」という二つのヒエラルキーが存在する場合が
あって、たとえば日本の人事部はそれを勘案することでジョブ・ロ
ーテーション(何年か毎に部署や担当が変わっていく)を上手く組
んでいたのである。


(つづく)
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          今回の・・・

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 内部労働市場という考えは、不特定多数の雇い主と不特定多数の
労働者との需要・供給バランスによって雇用される労働者の数や賃
金が決定される自由(外部)労働市場より、いまの現状に即したア
イデアといえます。

 組織の経済学では「長期的に効率的である」から「こういう現在
の組織や経済のかたち」になった、というパターンでモノを考えて
います


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