組織の経済学・マレニヨム

企業文化と評判、そして終局ゲーム

企業文化と評判、そして終局ゲーム

企業文化と評判、そして終局ゲーム

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        組織の経済学・マレニヨム!

          第070回(2001/04/09)

           レントと効率性

       「企業文化と評判、そして終局ゲーム」

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 人間はなぜ組織を作るのか。組織の中で個人はどのように動く
 のか。そして経営者と組織自体はどういう方向に自らの形態を
 変えていくのか。経済学の観点から学びます。
  テキストとしてポール・ミルグロム&ジョンロバーツ箸の
 「組織の経済学(NTT出版)」をご用意下さい。BNは↓
  http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/
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 風呂を沸かしつつこの原稿を書いていたら、沸騰寸前になってし
まった。本当に暖かくなったもんだなあ、、、


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       企業文化と評判、そして終局ゲーム

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■「評判」の限界と「企業文化」
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 取引や契約が何度も繰り返し行われるような場合、信頼を裏切っ
た場合の利益より信頼を得る場合の便益の方が大きくなる。

 このような場合、取引相手の信頼を失うような行動は自らの大切
な「評判」を落とすことになり、そのために多くの利益を失う。

 だから企業も個人も評判を気にし、可能な限り(少なくともハッ
キリ見えてしまう面だけでも)誠実であろうとする。

 だがもし契約に違反し、意志決定者が節度のない行動をとった場
合、それを法廷で立証するのは難しい。

 状況の認識にも相違があろうし、当事者にとって何が節度ある行
動であるかという認識もハッキリしない。

 一人の行動ですらフェアであるかどうか判定するのが難しいのだ
から、委託者が複数であるともうどうしようもない。

 これらの点が「評判」にのみ依存するシステムの有効性を著しく
弱めてしまう。

 だからこの欠点をなんとか克服しようと言う試みがなされている
のだが、集団内での「評判」に頼るシステムの有効性を高める方法
として、集団の構成員が共有できるような修得しやすい原則や慣例
を定め、それを発展させるという方法がある。

 これがすなわち「企業文化」と呼ばれるものである。

 大規模な組織ではこのような原則によって意志決定を容易にし、
社員も次に何が行われるか理解するのが容易になる。

 以前の章では企業文化を組織内部のコーディネーションのための
一つの材料、すなわち企業がどう動くか組織内の構成員が予想でき
れば、全社をあげてそれに取り組む体制を容易に作り上げることが
できるモノ、、、、として捉えたが、この企業文化というモノの機
能によって組織員には
「何が適正な行動で何が不適正な行動であるか」
を判断し、生じた係争を解決するための原則と手順が与えられるの
である。

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■企業合併の困難さとムラ社会
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 もちろん企業文化や組織の文化は、企業や組織ごとに違う。

 販売会社なら社員は背広を着ていて当然であろうが、工場や工房
や工務店勤務の人間が背広など着ていたら「まじめにやれ」「馬鹿
にしてんのか?」ということになる。

 企業や組織によって発生するトラブルの形は様々で、それを収拾
するやり方も様々になる。

 上の例でいえば、販社の社員がネクタイもしないでカジュアルな
服装をして出社すれば部長会や役員会で問題になり、改めなければ
クビになる、、、が、工場の場合は逆に従業員がスーツなど着て仕
事にでてきたら、「気取りやがって、袋叩きだ」という形で解決さ
れることになる。

 こういうわかりやすい例ならまだマシだが、微妙に異なる違うタ
イプの企業文化を持った企業同士が合併するような場合、困ったこ
とになる。

 というのも以前の企業で普通にやっていたことをやるだけで「評
判」を落としたり、評価を落としたりする。

 だから合併というのは人事関係でギクシャクする。なんせ評価の
暗黙の基準が企業によって異なるのだから、違う文化を持った企業
が合併すると、評価基準を巡って紛糾することになる。

 モノを開発して売る会社とモノを買ってきて売る販売がメインの
会社、あるいはモノを売る会社とサービスを売る会社。

 そういう質的に異なる企業が企業活動を行おうとすると、評価基
準の違いが原因で双方に大きな不満が生まれてしまうことになる。

 しかも明確な取り決めや法律に基づくものではなく、慣習法のよ
うな比較的曖昧なこの「評判」というものが、実は法律より強い拘
束力を持つのだから、困ってしまう。

 小さなムラの中で継続して暮らしていく場合、評判を墜とすとい
うことはとんでもない重みを持ち、それは現在の罰とともに将来に
渡る長い不利益をも覚悟せねばならないことを意味するのである。


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■終局ゲーム
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 そういったわけで継続して取引を行う場合や、ムラ社会のような
集団内でずっと暮らすような場合には「評判」が大きな意味を持つ
わけだが、最後にゲームの終局問題、つまり取引が終わりに近づい
た場合の問題について考える。

 取引が終わりに近づくと、裏切りによる利益Gが残りの取引を円
滑に行う場合の利益より大きくなる状況が現出する。

 そうなると「誠実であるという評判」は効かなくなるから、裏切
りの確率が次第に高くなっていく。

 そのためゲームが終局に近づくと、最後に業績に応じてボーナス
を支払うというようなインセンティブを設定し、裏切りが起こらな
いように配慮しなければならない。

 定年間近の管理職に対して、業績に応じて退職後の金銭的インセ
ンティブをしっかり与えて置かねばならない。

 事実アメリカのCEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー:
経営最高責任者)に対しても、数年後に辞任が予想される場合には
そういう契約が結ばれているという調査結果が出ている。

(つづく)
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          今週の・・・

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 今回の内容は、身にしみるなあ、、、


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