モニタリング強度原理
モニタリング強度原理
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組織の経済学・マレニヨム!
第057回(2001/01/08)
インセンティブ契約
「モニタリング強度原理」
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人間はなぜ組織を作るのか。組織の中で個人はどのように動く
のか。そして経営者と組織自体はどういう方向に自らの形態を
変えていくのか。経済学の観点から学びます。
テキストとしてポール・ミルグロム&ジョンロバーツ箸の
「組織の経済学(NTT出版)」をご用意下さい。BNは↓
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あけましておめでとうございます。本年もいい加減なメルマガで
すが、よろしくお願いいたします。
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モニタリング強度原理
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■モニタリング強度原理
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前項では、業績の評価法については「所与given」として考えた。
だがしかし資源配分を変更し、モニタリング(評価法)を改善すれ
ば効率のよいインセンティブを作り出すことができるはずである。
だがしかし、どれくらい資源(お金や人材)をモニタリングに回
せば良いのだろう?
モニタリングに費用をかければ、とりあえず測定誤差の分散が小
さくなるものだと仮定して、この問題を考えてみよう。
努力測定に伴う分散(ばらつき)Vを考え、V以下に分散を押さ
える時のモニタリング・コストをM(V)とする。
Vを小さくするためには一般的にMを大きくすることになるから、
M(V)は減少関数である。またVが大きいとき少しVを減らすだけな
らMの増分はわずかで済むだろうが、Vを0に近づけようとするな
ら膨大な費用がかかることが予想される。よってM'(V)は増加関数
だと考えられる。
ここでまた「総確実同値額」の式を持ち出してみる。
(同値額)=P(e)-C(e)-(1/2)rβ^2・V
M(V)はもちろん消費される費用だから、ここから引くことになる。
(同値額)=P(e)-C(e)-(1/2)rβ^2・V-M(V)
他の条件を所与のモノとしてこの式をVで微分すると、
0=-(1/2)rβ^2-M'(V)
となるので、Vを減少させるための追加費用-M'(V)=(1/2)rβ^2
ということになる。
つまり業績測定費用をかけるとβは小さくても効く。費用をかけ
ないとβを大きく設定しなければインセンティブは弱くなる。
これを「モニタリング強度原理」という。
(つづく)
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ここまでの復習
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★リスクプレミアム
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大抵の人間は「リスク回避的」である。そしてリスクを回避する
ために、リスクプレミアムを支払う。その額は報酬のばらつきをV
とすると、
-(1/2)rβ^2・V
となる。
この式は「組織の経済学」の271ページに導出過程がでているが、
テイラー展開で効用関数を開いて、そこに期待値を放り込み、さら
にインセンティブ契約のw=α+β(e+x+γy)を代入した結果
から出てきた式である(近似式)。
ここで三つの式が出てきて、
1)従業員(エージェント)の確実同値額(つまり報酬決定式):
α+βe-C(e)-(1/2)rβ^2・V
C(e)は努力eに必要なコスト
2)雇用主(プリンシパル)の確実同値額(つまり利潤):
P(e)-(α+βe) P(e)は粗利潤の期待値
3)トータルの確実同値額:
P(e)-C(e)-(1/2)rβ^2・V-M(V)
M(V)はモニタリングコスト
となる。
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★インセンティブ制約式
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さてこれらの式を元に従業員にインセンティブを与えるような報
酬体系を実際に作るには、αやβなどの係数を決めねばならない。
報酬:w=α+β(e+x+γy)
のαは固定給部分、βはインセンティブ強度(インセンティブの強
さ)であるが、これを決めるには注意しなければならない様々な制
約がある。
まずβに関する第一の制約が「インセンティブ制約式」で
β=C'(e)を満たさねばならない。
つまり従業員に努力を要求するなら、それに見合ったβを設定し
なければならない。それ以上でもなくそれ以下でもダメである。
でなければ効率的なインセンティブ、つまり従業員に一様な線型
の、どんな状況においても恒常的な努力を求めるようなインセンテ
ィブを作り出せない。
次に従業員個人の業績を示しやすい指標を積極的に評価し、また
あまり個人の働きとは関係ないような指標を除外しなければ、総価
値は増大しない。
つまり儲けを漫然とばらまくとインセンティブとしての効果が薄
れるし、会社も儲からない(「インフォーマティブ原理」)。
さらに
β=P'(e)/{1+rVC"(e)}
という式で、
1)追加的な努力がもたらす利潤の増分
2)リスク回避度
3)業績評価の正確さ
4)インセンティブに対するレスポンス(反応)の強さ
にインセンティブ強度係数βが依存するということがわかる(「イ
ンセンティブ強度原理」)。
最後に今回の「モニタリング強度原理」では、Vを小さくすれば
インセンティブがよく効くようになり、そのためののコストが
-M'(V)=(1/2)rβ^2
という式で表される。
まあ、モデルでは、、、ということですが。
