組織の経済学・マレニヨム

インセンティブ契約のおさらい

インセンティブ契約のおさらい

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インセンティブ契約のおさらい

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        組織の経済学・マレニヨム!

         第055回(2000/12/18)

         インセンティブ契約

      「インセンティブ契約のおさらい」

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 人間はなぜ組織を作るのか。組織の中で個人はどのように動く
 のか。そして経営者と組織自体はどういう方向に自らの形態を
 変えていくのか。経済学の観点から学びます。
  テキストとしてポール・ミルグロム&ジョンロバーツ箸の
 「組織の経済学(NTT出版)」をご用意下さい。BNは↓
  http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/
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 体調がぜんぜん良くなりません。一日中ぼーっとしています。
 クビになる日も近いような、、、

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■おさらい
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 去年もやりましたが、今年もインセンティブ契約のおさらいを
お送りします。

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      インセンティブ契約のおさらい

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■従業員の確実同値額
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収入が歩合や会社の業績によって上がり下がりするより、
 「給料が安くても、確実に一定額以上の給料を毎月もらいたい」
という従業員は多い。

 このとき従業員に支払われる給料額は、変動リスクを全て受け入
れた場合の収入Iの平均(あるいは期待値)をI^とし、リスク回避
係数をr(I^)、そして報酬の分散値(ばらつき)を Var(I)とすると
インセンティブ契約(つまり業績に応じて報酬が上がったり下がっ
たりするような報酬契約)でない完全な固定給の場合は、

I^ - (1/2)* r(I^) * Var(I)

となる。

 rの値は、リスクが嫌いな堅実あるいは贅沢(?)な人の場合は
大きくなり、逆にギャンブル好きな人間の場合はr≒0となる。

 一般に堅実な人は(或いはお金持ちであまり金にガツガツしない
ようなタイプの人は)、お金を払ってでも確実な収入を欲しがる。

 逆に勝負好きな人間や、一発当てて大儲けしなければならない人
は、成績がよければさっさと儲け(ボーナス・歩合)をもらって遊
びに行きたがる。

この「お金を払ってでも」というその金額を、特に
「リスク・プレミアム」
と言い、
(1/2)* r(I^) * Var(I)
がそれに当たる。

 リスクを避けたい人はリスクプレミアム分給料が安くても働く、、
というモデルであり、だから給料のばらつきが大きければ大きいほ
どリスク・プレミアムは大きくなるし、臆病であれば臆病であるほ
どリスク・プレミアムは大きくなるということになる。

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■線形インセンティブ報酬
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 だがしかし完全な固定給制にすると、組織はモラルハザード問題
に悩まされることになる。

 従業員が自らの作り出すリスクをまるで背負わず、組織や企業の
様々な仕組みやブランドなどを利用して、自分のための利益のみを
追求し出す。

「親方日の丸」だとか「鉄腕主義(倒産しない中国の企業の体質を
表した言葉)」と言うように、収入が「決まり(法律)」によって
保証されているような組織では、企業や組織の目標のために一生懸
命働くインセンティブは生まれない。

 クビにならない程度に仕事を適当にさぼり、内職したり怠慢プレ
ーをしたりし始める(つまりこれがモラルハザード)。

 そこで組織は従業員に対し、一部固定、一部歩合のような複合し
た報酬契約つまり「インセンティブ契約」を結び、従業員がまじめ
に働くように仕向ける。

 その結果、以下のモデルができあがる。

 w(賃金)=α(基本給)+β・(e+x+γy)
  
 ただしeは従業員の努力水準、xは会社自体の需要水準、yは業
界全体の需要水準(要するにその業界の景気動向)である。

 βはそれらに対する歩合給の係数で、この係数を特に「インセン
ティブ強度」という。

 βの値が大きければ大きいほど、従業員に与えるインセンティブ
が大きいと言うことになる。

 そして式が線型(つまりかけ算や足し算などだけでできている式。
定義としては、f(ax+by)=a・f(x)+b・f(y)を満たすような式)にな
っているのは、全ての業績の状態に対して一様なインセンティブを
与えるためである。

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■努力水準とインセンティブ報酬制度
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 さて、努力するにも何らかのコストがかかる。

 業績アップのために本を読んだり英会話学校に通ったり、、或い
はその他の様々なトレーニングを行ったり、、、、

 これらの費用をC(e)で表し、そしてIに
α(基本給)+β・(e+x+γy)
を代入して計算すると、インセンティブ契約における従業員の給料
(確実同値額)は、結局下のようになる。

 w=α+βe-C(e)-(1/2)rβ^2・Var(x+γy)
           (※ここでβ^2はβの二乗である。)
 
 wは努力水準eの関数である(つまり従業員の努力いかんによっ
て給料が変化するわけだから)から、これをeで微分すると努力水
準と支払われる給料の上昇速度関係がはっきりする。

 ∂w/∂e=β-C'(e) 
         ※C'(e)は努力一単位に必要な限界費用になる。

 ここでβ-C'(e)>0だと、努力が大きい人はもの凄くたくさん
歩合をもらえることになり、小さい努力しかしない人はまるで実入
りが増えないことになってしまう。そしてまら企業は報酬を払いす
ぎることになる。

 逆にβ-C'(e)<0だと、1努力した人は1もらえるが、10努力
したひとは7くらいしかもらえない事になる。

 そう言うわけだから効率的なインセンティブ契約となるのは、
β-C'(e)=0となる場合である。

 だからもし企業が従業員の努力水準を引き上げようと思うなら、
インセンティブ契約を結んだ上でβを引き上げなければならない。

 この式を特に「インセンティブ制約」と呼び、実現可能な雇用契
約は必ずこの式を満たさねばならない。「インセンティブ両立的」
な契約は「インセンティブ制約」を満たす。


(つづく)
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          今週の・・・

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 まぐまぐさんの年末年始のスケジュールがどうなっているのかは
知りませんが、本年は次回でおしまいです。
 来年はいつからになるかはわかりませんが、よろしくお願いしま
す。(


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