保険と逆選択
保険と逆選択
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組織の経済学・マレニヨム!
第037回(2000/06/19)
第三部モティベーション:
契約、情報とインセンティブ(7)
「保険と逆選択」
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このメルマガは、ポールミルグラム&ジョンロバーツ箸の
「組織の経済学(NTT出版・刊)」を適当に読みながら経済学
経営学のキーワードを勉強しようというメールマガジンです。
ただこのメルマガは読み物として私見を交えて書いている
し、間違っている部分も多いので鵜呑みにしないでね。BNは
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/index.html
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都合により、しばらくお休みさせていただくかもしれません。
とりあえず来週は必ず休ませていただきます。(み)
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保険と逆選択
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■逆選択(アドバース・セレクション)
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「逆選択」とは、契約前の情報の非対称から生まれるインセンティ
ブ問題である。
この概念は保険会社の直面した問題から確立された。
たとえば医療保険に妊娠・出産に関するオプション契約(特約)
を付けるとしたとしよう。
妊娠・出産は病気ではないから普通は保険金は支払われないこと
が多いのだ。
だが出産には様々な費用がかかることが多いから、そう言う事態
になったときにもいくらかの保険金を支払えるように、特約として
そういうオプション(選択契約)として付けたらどうだろう?
と言う話があるわけである。
だが出産にかかわる費用に対しても保険金を支払うという特約を
付けて保険を売り出したとすると、そのオプション契約を結ぶのは、
そういう可能性の高い集団(つまり妊娠・出産を控えているとかそ
ういう予定があるという人間のグループ)に片寄ってしまうだろう。
子供を産む気や子供を作る気のない人間にとっては、妊娠・出産
に関して余分に掛け金を掛けるのは無駄であるから、どうしてもそ
うなる。
だが保険というのは、保険の対象とならない人間が多数加入する
から成り立つものなのである。
なぜなら
{保険加入者が支払う掛け金総額}
≧{保険会社が支払う保険金総額}+{保険会社の運営費用}
でなければ保険会社は利益など出ない。
利益が出ないなら、そんな保険など保険会社は売り出せない。
こういうふうに、取引にある特定の人々が集まって保険などの取
引が成り立たなくなるのが「逆選択」の問題なのである。
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■逆選択と市場の「閉鎖」
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逆選択は、保険契約を結ぶ加入者に「私的な」情報があり、契約
会社にはそれがわからない事によって起こる。
たとえば高額の保険金を支払う自動車保険があるとする。
自動車事故が起こった時に高額の保険金が支払われる保険である。
そうするとこの保険の掛け金は、通常の保険より高い掛け金でな
ければ成り立たないから、この保険に加入しようと言う人間は、
「この保険で得をしそうな人間」
すなわち
「事故を起こす可能性が高く、高い賠償金を支払う可能性が高いと
自覚している人間」
に片寄ることになり、そういう人々に「逆に選択されてしまう」。
そして逆選択が起こると当然保険は成り立たなくなり、そういう
保険は提供されなくなる。すなわち市場が閉じてしまうのである。
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■保険成立条件の計算
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一般に、ある保険に加入したい人間の受け取りたい保険給付額が
X円だとすると、保険会社はXの値の高い人間(つまり事故を起こ
しそうだという人間)には高い保険料を課し、安い人間には安い保
険料を課せばよいのであるが、そのX円がどのくらいであるかは個
人的な「私的情報」であるから、保険会社にはわからない。
だがそれでは仕方がないから、保険会社は加入希望者に一律P円
の保険料を提示し、加入者を集めることになるのである。
さてここで保険加入者が保険によるリスク軽減から価値Vを得る
ものとしてみる。
すなわち保険加入にすると、事故を起こすんじゃないかと思って
こわごわ車を運転することから開放され、ある種の余裕や安心を得
られるわけである。その余裕や安心の価値を金銭に換算したものが
Vである。
もちろん安心価値Vは、人によって大きさが異なる。
ボクみたいに四十になって初めて免許を取って、しかも教習所内
でもこわごわしか運転できないような間にとっては、保険がなけれ
ば車なんて運転していられない。
そういう人間にとっては保険料Pがかなり高くても、車を運転す
るにはそういう保険に加入せざるを得ない。すなわち安心価値Vの
値が大きいのである。
だがあまり収入が無く、しかも
「自分はそんな事故なんて、絶対起こさないよ!」
と甘く考える者にとっては、万が一の時の保険よりも目先の金の方
が大事かもしれない。
そう言う人間にとってはVの値は小さいから、掛け金Pが高けれ
ば、そんな保険には加入しようとは思わない。
つまり P≦X+V の場合にのみ、加入者は保険加入に魅力を
感じ、保険に入ることになる。
さてそうすると、保険会社の支払う給付金は保険料Pとどのよう
な関係になるであろうか。
たとえば給付請求額が0からX’まで一様に分布している場合を
考える。
つまり事故を起こさない人5人、小事故を起こす人5人、中程度
の事故を起こす人5人、大事故を起こす人5人、、、といった感じ
で加入者が分布しているとする。
この場合、加入者はX≧P-Vでないとこの保険には加入しない
から、保険加入者はX=P-Vの人間からX=X’までの人間であ
る。よって保険給付額の平均値はX=P-VとX=X’の平均にな
り、
(P-V+X’)/2
となる(保険の給付の平均値は保険料Pに対して増加関数となる)。
さて保険会社は保険支払1円に関して手数料Cを取るとする。
保険会社は加入を促進するために加入するときに手数料を取らず
に支払の時に手数料を取るものとする(パチンコ屋の換金レートみ
たいなものか?)。
そうすると、保険会社の負担する平均費用は
Ps(X)=(X+X’)(1+C)/2
となる。Xはもちろん最小のXである。で、平均掛け金をPbとす
ると、
Pb(X)=X+V
だから、少なくともPb≧Psならばこの保険は成り立つことにな
る。
ところがこれを計算してみると、
X’≦{(1-C)X+2V}/(1+C)
となり、Cに0以外の色々な値を入れてX-X’のグラフを描いてみ
ても、X≦X’となるような傾きが45度以上になるグラフは描けな
い(注:X’はXの最大値であるからこのような条件を満たさねば
ならない)。
すなわちたとえコストが0だったとしても、逆選択がある場合、
保険というのは
X=X’
の場合しか成立しない、、、つまり逆選択があると保険が成立しな
いのである!
(このモデルの説明はテキストと少し違うけど勘弁して下さい)
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■代替的な手段
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逆選択が生じると、保険は成り立たなくなる。
だから逆選択が生じないように、保険会社は知恵を絞る。
すなわちそれが「団体加入保険制度」である。
個々人に保険への加入の自由を認めると、どうしても逆選択が生
じやすいから、ある団体全員を保険に加入させるわけである。
自動車保険なども、最初に保険に加入する場合のランクは決まっ
ているが、それは団体加入制度を個人にばらして適用していると考
えれば合点がいく。
そうして何年か保険に加入した後に、保険会社は加入者の情報を
得て、それぞれに適した保険の掛け金を設定するわけである。
さて最後に逆選択の問題は、新古典派の市場の理論とは両立しな
いということを覚えておこう。
新古典派理論における市場の参加者は、無人格的な人間を前提と
しているので、このような
「私的情報を持った参加者が市場に参加する場合」
には適用できないのである。
(つづく)
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今回の・・・・
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今回のモデルはテキストではもう少しややこしい説明になってま
すので、ボクの説明は無茶苦茶いい加減だと思って下さい。
雰囲気だけ、、、はは。
