動機付けの重要性と契約の不完備性
動機付けの重要性と契約の不完備性
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組織の経済学・マレニヨム!
第031回(2000/05/25)
第三部モティベーション:
契約、情報とインセンティブ(1)
「動機付けの重要性と契約の不完備性」
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このメルマガは、ポールミルグラム&ジョンロバーツ箸の
「組織の経済学(NTT出版・刊)」を適当に読みながら経済学
経営学のキーワードを勉強しようというメールマガジンです。
ただこのメルマガは読み物として私見を交えて書いている
し、間違っている部分も多いので鵜呑みにしないでね。BNは
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/index.html
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今回からは経営者や労働者に「やる気」を出させ、かつ、「組織
に損害を与えない」ようにするための様々なシステムについての話
です。
議論を単純化するためにここでは前提として
「人間は、自分自身に利益になると認めた事しか行なわない」
という仮定を置いています。そして
「人間は互いの利益を認識し合い、互いの利益増大の為に行動の修
正に合意するという協定がつまり「契約」で、他人に対して契約を
遵守するように期待する」
としています。
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動機付けの重要性と契約の不完備性
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■動機付けの重要性
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ここまでは主にコーディネーションの問題を取り上げたが、ここ
からは組織に属する各人に対する「動機付け」の問題を取り上げる。
復習ではあるがコーディネーションの問題では、
・何が行われるべきであるか?
・どのようにしてそれを達成すべきであるか?
・誰が何を行なうべきか?
という問題が重要であり、さらに組織内のコーディネーションにお
いては、
・どのような情報のもとで、誰が意思決定するか?
・必要な情報がどうやったら確実に必要な部門に伝達できるか?
(その為にどのようなコミュニケーション・システムを編成すべき
か?)
という問題が重要であった。
しかしこの問題が解決され、いかに上手く組織や生産計画をコー
ディネートできても、各部門に属する各人がそれをちゃんと実行し
てくれなければ何にもならない。
組織に属する各個人にそれぞれのポジションの役割をしっかりと
認識させ、各人に組織全体として意味のあるような行動をうまくと
らせるために「動機付け」と言うモノが必要となるわけである。
ではなぜ動機づけ問題が生じるのだろうか?
それは結局まず
「各個人の私的な利益が、他人の利益やその個人の所属するグルー
プや組識の利益、あるいは社会全体の利益と普通合致しないから」
ということだろう。
個人としては、できればあまり働かずにたくさん報酬をもらいた
い。休みもたくさん欲しいし、役得も欲しい。
地位も欲しいし、名誉も欲しい。
だが組織の側から見れば、組織に属する個人に生産性に見合わな
い高い報酬を支払ったり高い地位を与えれば、大損である。
少なくとも賃金や地位に見合う分くらいは働いてもらわなくては、
計画合理性もあったモンじゃない。
そう言う風に各個人と組織の利益はなかなかうまく合致しないと
いうことが、動機付けの必要な第一の理由である。
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■完全・完備契約
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さて用意周到に作られた契約が存在するとすれば、動機づけは必
要でない。ここに動機付けが必要なもう一つの理由が存在する。
用意周到に作られた契約には、あらゆる将来の状況に対応して契
約当事者双方が何をすべきであるか書かれているのであるから、そ
んな物は必要ないはずであるからである。
こういう理想的な契約を特に「完備契約(コンプリート・コント
ラクト)」と言うが、このような契約を結ぶことはまず不可能であ
ろう。
というのも完備契約を作って合意しそれを制定するためには、
1)契約を結ぶ当事者が、それに伴って発生する可能性のあるあら
ゆる事態について知り、それに対する行動や支払いを前もって
決定し、それを正確に記述できる。
2)そして事後に何か起こったのか実際に双方に確認できる。
3)考えられる事態に最適な行動が何か、そしてそれに伴う支払い
がいくらかを決定し合意する能力が契約当事者双方にある。
4)契約締結後、当事者が進んで契約遵守をするか。
(後日契約のやり直しが行われるとすれば、最初の契約を当事者
は正確に遵守しなくても良いことになる。そうすれば次の契約
も遵守されない可能性が出て来る。また契約が遵守されている
かどうかは当事者が自分自身で判断できなければならない。さ
もないと当事者は自分が契約を遵守しているかどうか判定でき
ず、すすんで契約を遵守することができなくなる。)
等と言った条件が整わなければならないのだ。
もちろんこれはまず整わないと考えられるから、世の中で取り交
わされる契約は「不完備な契約」にならざるを得ない。
(つづく)
