デザイン属性を伴う計画
デザイン属性を伴う計画
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組織の経済学・マレニヨム!
第028回(2000/05/15)
第二部・コーディネーション:市場と組織(13)
「デザイン属性を伴う計画」
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このメルマガは、ポールミルグラム&ジョンロバーツ箸の
「組織の経済学(NTT出版・刊)」を適当に読みながら経済学
経営学のキーワードを勉強しようというメールマガジンです。
ただこのメルマガは読み物として私見を交えて書いている
し、間違っている部分も多いので鵜呑みにしないでね。BNは
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/index.html
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デザイン属性を伴う計画
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■情報効率性定理(復習)
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ハーヴィッツの情報効率性定理は、デザイン属性を含む問題を除
外している
、、、というか、前提条件として
「各生産単位も各消費者も、自分の情報しか持ち合わせていない」
と言う状態から考え、先験的な最適解や情報がない状態から、
「あと最低限いくつ情報があれば、経済効率が最適できうるか」
という問題を考えていたわけである。
そしてその結果として、
「その経済内に存在する財やサービスについての「限界変形率」が
公表されれば、それより変形率が劣る生産単位は生産を控え、優れ
る生産単位は生産を増やすことで経済が効率化される」
ということがわかり、結果的にその経済を効率化するために必要最
小限の追加情報の総数は、
「存在する財やサービスの総数から、価値基準となるニュメレール
財(たとえば金銀とかの一個の財)を引いた数」
であるという結論を導いたのである。
この「財やサービスの限界変形率」は競争的な市場における均衡
価格で置き換えることができるから、価格システムは中央集権的生
産システムよりはるかに少ない情報量で経済を効率化することがで
きるのだ、、、、ということであった。
ではもし経済を効率化できる先験的な情報が存在する場合はどう
なるか?
それが今回の「デザイン属性を伴う計画」の話である。
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■デザイン属性を伴う計画
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それではまずデザイン属性とは何だったか、思い出しておこう。
デザイン属性とは、「シンクロ問題」と「割り当て問題」の生じ
る場合のことで、価格による資源配分システムがうまく機能しない
場合のことであった。
この本ではボート漕ぎの話と救急車の配車の話が例として上げら
れていた。
すなわちボートを漕ぐ場合には、全体の行動が一つの目的のため
に合致した行動をとらねばならない。
全体を見渡すことができ、状況を把握して最適な判断が出来るコ
ックスの指揮の元にボートを漕ぐ方が、それぞれの漕ぎ手が自分の
シートから判断できる情報によってボートを漕ぐ場合より、うまく
ボートを漕ぐことが出来る。
つまり行動を指揮者の元にシンクロナイズさせる方が、それぞれ
の主体にバラバラに判断させるより、より効率的になる場合がシン
クロ問題を伴うデザイン属性がある場合である。
また救急車の配車問題とは、相対的な希少資源である救急車を事
故現場や急病人の発生地に配車する問題で、けが人や急病人の発生
地に価格を割り当てて配車すると、価格の高い箇所に救急車が集ま
り低い箇所に救急車が回ってこない、、、という問題が生じるよう
な問題である(これは経済性の問題ではなく、社会問題の範疇であ
る)。
さてではなぜデザイン属性を伴う意志決定が、価格システムより
うまく資源配分を達成するのか、、、、と言えば、大ざっぱに言う
と
「資源配分に関して、先験的な情報が存在する」
からである。
すなわちハーヴィッツの情報効率化定理では先験的な最適解がな
い前提からスタートしたから、何か財やサービスの生産を効率化す
るためには最低でもその財やサービスを生産するために必要な投入
物(原材料や労働)の価格がわからねばならなかった。
しかしデザイン属性を伴う計画では、前もって効率的な答えが既
に存在する。
だからデザイン属性の伴う計画では、価格システムが伝達するよ
りも少ない情報量で最適な計画やそれに準ずる計画を立てることが
できるわけである。
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■生産には、時間がかかる。
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デザイン属性を伴う計画は、見方を変えれば
「時間との戦いが、便益の大きさを大きく左右する問題」
の事である。
ボート漕ぎの問題は、各漕ぎ手がオールを漕ぐ時刻を一致させる
ことがボートの速度をより速くすることができるということであり、
救急車の配車の問題は、配車に手間取るとけが人や急病人の病院へ
の搬送が遅れ、けが人や急病人の死に至る確率が高くなる(損益が
膨大になる)ということなわけである。
ここでは、自動車会社の新車の製造と販売について考えてみよう。
たとえばある新しい車を作るために、Aという工程とBという工
程があったとする、そしてその工程にかかる時間をそれぞれTa、
Tbとする。さらにその商品の発売日をX日とする。
発売日Xを早めると同等のライバル会社の製品よりその商品を早
く世に出せる。そうなると注文が増え、企業の便益は増大する。
また逆に発売日Xを遅らせるとライバル会社の後塵を拝すること
となり、企業の便益は小さくなる。
だから企業はTa、Tbを短縮して、なるべく早く新商品を売り
出したいのだが、Ta、Tbを小さくするためには、そのための追
加費用がかかってしまうのだ。
それは残業を行ったり臨時のアルバイトを雇ったり、原材料(投
入財)をもっと早く調達したりという、「より大きなコスト」がか
かるわけである。
これをコストと時刻のグラフで表してみる。と、生産の限界費用
は右下がりの曲線になり、期日がズレることによって生じる企業の
限界(機会)損失MLは下のように右上がりの曲線になるから、新
車の発売日はこれらの曲線の交点前後に決まることになる。
この時、この計画を推進するコーディネーターは期日を早めるこ
とによる限界便益(利益)と、各工程における限界費用を知るだけ
でよい。
コスト
| MC ML
| \ /
| \ /
| \ /
| \/
| /\
| / \
| / \
| / \
|
|______________
T 期日
だがここでもしこのコーディネーターが他の方法を取り、各部品
供給者がどのように彼らの期日を決定するかという方向からこれを
考えると、期日について何十通りもの候補を考え便益を計算せねば
ならなくなる。
たとえば部品供給のタイミングをコーディネートしなければなら
ない10人の供給者がおり、そして五つの完成期日が候補であると
する。
夏のスキー板のレンタル料金と冬のスキー板のレンタル料金が異
なるように、五つの期日における十の財の価格は期日によって違う
から、そこには都合五十の異なる価格が生じることになる。
この五十の異なる価格に対して購入者が自分の便益を最大にする
ような価格で購入することができれば、資源配分は効率的になるの
だが、シンクロナイズ問題を解くためにこの五十の価格を計算する
のは、えらく面倒でありムダが多い。
結局新車を作って売るという活動のコーディネーションに価格シ
ステムを用いないのは、
(1)価格システムを用いることは可能ではある、がそれには膨大
な情報量が必要であるから。
(2)シンクロナイズできないときのコストが大きいから。
なのである。
最後に、シンクロナイズ問題はたった一つの欠陥が企業の便益に
大きな損失をもたらすという性質をもっているがために、価格シス
テムを用いると「非常な脆弱さ」を露呈してしまうということも、
忘れてはならない。
すなわち価格システムを用いた計画では、大事な部品が生産期日
に間に合わない場合が生じ、そのために販売期日が遅れたり新車の
供給量が不足気味になったりすることによる損失がとんでもなく大
きくなってしまうのである。
(つづく)
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今回のまとめ
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デザイン属性を伴う生産計画で価格システムを用いるのは得策で
ない。
部品を市場調達によって調達してよい場合と、そうでない場合が
ある、、、というのは、この本の最後の方にも登場します。
