続・アービング・フィッシャーと予算制約式
続・アービング・フィッシャーと予算制約式
/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Gregory Mankiw/
mag2 ID:25929
マンキューも読むのでR!
第74回(2001/10/03)
消 費 (3)
「続・アービング・フィッシャーと予算制約式」
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/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Gregory Mankiw/
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■異時点の予算制約(復習)
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人々は消費を収入のうちから行う。つまり消費は収入によって制
約を受ける。
だがそれは現時点の収入によって制約を受けるのではない。
将来の見込みを想定してどの程度を消費に回し、どの程度を貯蓄
や投資に回すかを決める。
そしてなるべく人生の「満足度」を高めるような配分になるよう
それを行う(と予想する)。
たとえば人生の前半を第1期、後半を第2期とし、収入と消費を
考える。
前期の収入がY1、消費がC1、後期の収入がY2、消費がC2だとする。
(値はインフレ等を加味した実質価値とする)
前期の貯蓄Sは、S = Y1 - C1
後期は貯蓄をしないので、C2 = (1+r)S + Y2
(rは実質利子率)
もちろん前期で貯蓄をせず、大きな借金を抱えることもあるだろ
う。その場合Sはマイナスの値をとる。
上記の二式からSを消去すると
C2 = (1+r)(Y1-C1) + Y2
となり、(1+r)C1 + C2 =(1+r)Y1 + Y2 と変形して
(1+r)で両辺を割ると、
C1 + C2/(1+r) = Y1 + Y2/(1+r)
となる。
後期の消費C2
|
|\
| \ C2= -(1+r)C1+(1+r)Y1 +Y2
| \
Y2 |………\
| \
| \
| \
| \
 ̄ ̄ ̄Y1 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄前期の消費C1
これはつまり後期に消費できる価値(金銭)が前期の消費の関数
であるということを意味している。
これを「異時点の予算制約」という。
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■消費者の選好と借り入れ制約(復習)
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で、前期にC1、後期にC2だけの消費を行った場合の「効用(ユー
ティリティ)」について考える。
効用Uというのは要するに「満足度」であるが、これは前期の消
費C1の効用関数であるU(C1)と後期の消費C2の効用関数であるU(C2)
との合計になる。
∴ U = U(C1) + U(C2)
この効用曲線は「無差別曲線」の集合となる。
人々はこの「人生の効用」を大きくする方向で消費を行うモノと
仮定すると、効用曲線上の点で
∂(C2)
――――― = 1+r
∂(C1)
を満たすような(C1、C2)の組み合わせを選ぶことになる。
だが上の予算制約式は、人生において得られる収入を全てある時
点で消費できるという前提の下の話であって、その時点で最適の配
分(C1、C2)にできるような収入を「借り入れる」ことができると
は限らない。
この場合、人生の効用は理論上の最大値より低い効用とならざる
を得ない。これを「借り入れ制約」と呼ぶ。
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続・アービング・フィッシャーと予算制約式
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■所得の変化と消費
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さて人々が予想している人生の総収入が、実際は思ったより多か
った場合、消費はどうなるか?
もしその人が消費している財やサービスが、消費の増加にともな
って多く消費されるような「ふつうの財(正常財)」であると仮定
すれば、当然消費は増えることになる。
フィッシャーの異時点の予算制約モデルで考えると、予算制約の
線が外側にシフトすることになるから、人々はより満足度の高い効
用曲線を無差別曲線の中から選んで消費の配分(C1、C2)を行うこ
とになる。
これは所得の現在価値
Y1 + Y2/(1+r)
によって消費配分が決定され、現在の所得Y1が増えても、将来の所
得Y2が増えそうだという見込みになった場合も、消費が増えるとい
うことを意味する。
ケインズの消費関数はあくまで「現在所得」のみを変数とする関
数であるが、フィッシャーの場合は「生涯所得」つまり「現在所得」
と「将来の所得見込み」によって現在の消費が決まる、、、という
ことである。
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■実質利子率の上昇
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さて、人生を前期と後期に分けるのなら、その途中で利子率が変
化するのは避けられない。
江戸時代の中期じゃあるまいし、実質利子率が変化しないなんて
現代では考えられない。
では利子率が変化する場合、人々は消費行動をどう変えるのだろ
うか?
ここではまず前期の貯蓄Sが正の場合、つまり人生の前半で貯蓄
をし、後期でそれを使うというパターンを考える。
●利子率rが上昇する場合:
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後期の消費C2
|
|\
↑| \ C2= -(1+r)C1+(1+r)Y1 +Y2
C2| \
Y2 |………・a | |\
| | \
| | \
| | \
 ̄←c1 ̄Y1 ̄ ̄ ̄ ̄前期の消費C1
実質利子率rが(予想される利子率より)上昇した場合、上記の
予算制約式の傾きは急になる。
収入は前期にY1、後期にY2という設定は変わらないので、予算制
約式は点aを通るが、そうすると前期の消費C1は少なくなり、後期
の消費C2は増えることになる。
つまり利子率が上がると人々は貯蓄を増やす。その分だけ前期の
消費C1が減り、後期の消費C2が増えるというわけである。
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■所得効果と代替効果
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実質利子率の上昇が消費に及ぼす影響は「所得効果」と「代替効
果」に分類される。
「所得効果」とは、予算制約式の傾きが変化することによってより
高い無差別曲線(より満足度の高い効用曲線)を選択できるように
なるという効果である。
人生において使える金が増えると言うことは、よりたくさんの消
費とより多くの満足(効用)を得られると言うことであるから、こ
の場合、前期も後期も消費を増やすことが可能になる(正常財の場
合)。
もちろん前期は貯蓄(S>0)をするわけだから、のべつまくな
し消費を増やすというわけにも行かないので、前期の消費C1は増え
る場合もあるが、減る場合もある。
だが貯蓄をするという前提では、後期の消費C2は必ず増えるとい
うことになる。
一方「代替効果」とは、前期と後期の「消費の相対価格」による
効果である。
前期と後期では同じモノを買うとしても、収入が違う。
前期は貯蓄Sによる利子S×rがないので、価格pの対収入価値
はp/Y1だが、後期にはp/{Y2(1+r)}となる。
利子率rが上昇すると前期に消費するよりも、後期に消費する方
が消費の効用が大きくなる。
月収20万円の時期に5万円のモノを買う場合と、月収40万円
の時期に同じ5万円のモノを買う場合、という例で考えれば、前者
は収入の25%、後者は12.5%。
その5万円の消費で得られる満足(効用)が同じだとすれば、前
期に消費するよりも後期に消費した場合のほうが、トクであるとい
うことはすぐわかる。だから後期の消費が増える、、ということに
なる。
ただこの場合、前期の消費は必ず減ることになる。
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■フィッシャーのモデルの実証
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フィッシャーのモデルでは、実質利子率rと貯蓄Sに相関関係が
ないといけないことになる。
実質利子率rが増えれば貯蓄Sは増え、rが下がれば貯蓄Sが減
るというデータがなくてはならない。
だがしかし、日本においてもアメリカにおいても、そういう相関
関係は残念ながら見いだせない。
もちろん後期の消費C2は、利子率rが高ければ当然消費に回せる
お金は増えるわけだから、増えることは間違いないが。
(つづく。次回はモジリアニのライフ・サイクル理論)
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今週の・・・
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「正常財」なんて、なんかへんな訳語やな。
たぶん所得が増えたら消費が減るような財(ギッフェン財)の反
語なんやろうけど、、、やっぱりなんか変。
英語だとノーマル・グッズだから、「通常財」でよかろうに。