マクロ経済学/マンキューも読むのでR!

均衡財政なんて百害あって一利なし

均衡財政なんて百害あって一利なし

均衡財政なんて百害あって一利なし

/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Gregory Mankiw/
mag2 ID:25929

         マンキューも読むのでR!
   
          第64回(2001/07/12)
 
     マクロ経済政策論争(4)

       「均衡財政なんて百害あって一利なし」

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/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Gregory Mankiw/
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      均衡財政なんて百害あって一利なし

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■金融政策のルール
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 前回見てきたとおり、裁量で経済政策を行うことは経済の政治に
対する不信感を増大させる。

 この前当局はこう言ったが、次は何を言い出すかわからない、、
そんな状態では、だんだん政策の効果が薄れてくる。

 またそのうち風向きが変わるだろう、、また変更があるだろう、、
そういうことを織り込みながら企業は生産計画を立てるし、家計も
減税の後は増税があるだろうと考えて、減税しても支出を絞り込む。

 つまり裁量で経済政策を行うと「不完全なコミットメント問題」
が発生して政策の効果がなくなってしまうのである。

 ではルールで経済政策を行う場合、そのような問題が起こらない
と言えるのだろうか?

 たとえばマネタリストは貨幣供給の変動が経済変動を起こすと考
えている。

 貨幣供給をずっと増大させれば経済はずっと成長し、貨幣供給を
上手くコントロールすれば、不況を遠ざけ安定的な産出や雇用や物
価を保てるという考えである。

 だがこれが成り立つのは貨幣の流通速度が一定の場合であって、
1980年代後半の急激な流通速度の下降時には当てはまらない。

 貨幣の流通方程式は

 M・V = P・Y
{貨幣供給量}×{流通速度}={価格水準}×{産出量}

だから、Vが安定的でないとMの供給量でGDPのコントロールはで
きないというわけである。
(※PはGDPデフレータ、YはGDPでかけると名目GDPとなる)

 そして経済に生じるその他の様々なショックに対しても、貨幣の
供給量をうまくコントロールして対処しなければ、貨幣供給だけで
経済を安定化させることなどできはしない。
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■GDP目標・物価目標・その他の目標
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 経済を安定させるには、政府がGDPの目標を定めてそれに貨幣供給
を合わせるという考え方もある。

 目標よりGDPの成長速度が大きければ貨幣供給を少なくし、逆に
GDPの成長速度が目標を下回りそうであれば貨幣供給を増やして対処
する、、、というわけである。

 また政府が物価水準を設定して、それに対して貨幣供給量を調整
するという場合もある。

 インフレが更新する場合は基本的に貨幣供給量がダブついている
わけだから、貨幣供給量を絞る。

 逆にデフレが起こる可能性があるならば貨幣供給が足りないので、
公定歩合などを下げたり国債を買い戻したりして貨幣供給を増やす。
(貨幣需要が十分あるならば、調整が可能)

 そして政府が目標にするのは経済へのショックの緩和や、GDP目
標や物価の安定以外にも、失業率の安定もある。

 何を第一目標にし何を第二目標にするかハッキリすれば、貨幣供
給などの金融政策は非常に効率的な政策となるが、その目標がハッ
キリしなければ裁量で政策を行う場合と同じく不安定なモノとなる。


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■均衡財政なんて何の意味もない
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 国家の歳入と歳出が均衡しているべきだ、という主張はよくある。

 だがしかし、それを支持する経済学者は殆どいない。というのも
それは単に、財政を企業の経営や家計と同じ見方で見ているだけで
あり、政府が増税したり紙幣を刷って歳入を増やすことが(制限付
きながら)自由にできるという事実を忘れている。

 政府は企業や家計と違ってお金を造ることができる。

 日本では「発券収入」を禁止しているが、政府の歳入として毎年
決まった額のお札を印刷している国は多い。

 これは別名「インフレ税」というが、国債を大量発行してそれを
日銀が無条件で買い入れるというのも似たようなもんである。

 だから歳入と歳出が均衡しているからといっても意味はない。

 やろうと思えばいつだってできるが、しかしそれをやった場合、
経済は大混乱である。

 たとえば発券収入を大きくすれば、経済はハイパーインフレが起
こる。

 第二次世界大戦での日本の戦費は170兆円と言われるが、その
殆どが軍票という名前の発券収入で賄われた。

 戦争をするために歳入を増やし、財政を均衡させたわけである。

 そしてその軍票がどうなったかと言えば、戦後二束三文の紙切れ
になり、何年分モノ給料で一食分の飯とタバコ数箱しか買えない状
況になった。

 また南アメリカ諸国のハイパーインフレも、政府の歳入不足を発
券収入で賄ったために起こった。 

 公務員に給料を支払うために歳入の30%だとか40%だとかの
分、紙幣を刷って支払った。だから毎年毎年実質貨幣価値が大幅に
下がり、自国紙幣が貨幣としての信用を失った。

「じゃあ政府が紙幣を発行することを制限して、歳入に応じて支出
を減らすと言うルールにすればいいじゃないか」
という意見もあるだろう。

 だが景気後退期には税収が減り、雇用保険などの支払いなどの移
転収支が増えて財政は赤字になる。

 国民所得勘定の恒等式を思い出してみよう。

 Y = C + I + G + NX
{GDP}={消費}+{投資}+{政府購入}+{純輸出}
 Y = C(Y-T) + I + G + NX

 均衡財政ルールでは、不況になった場合に「税率アップ(増税)」
か「政府購入の削減」を行わなければならないが、それはどちらも
上に見るようにGDPをさらに引き下げる働きをし、不況をさらに深化
させる。

 そして均衡財政ルールでは、将来国民にとって大きな意味を持つ
支出がうまく行えない。

 たとえば戦争、たとえば教育、たとえば社会インフラの整備など、
将来の自由や子孫のための欠くべからざる支出が、不況時には行え
ないと言うことになる。

 財政を均衡させるというルールは、あまりに危険なルールであっ
て、しかも殆ど何の価値もない。


(この章・おわり)
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          今週の・・・

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 次回からはいよいよマクロ経済学の華、マンデル=フレミング・
モデルです。


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