マクロ経済学/マンキューも読むのでR!

労働組合の活動と失業率

労働組合の活動と失業率

労働組合の活動と失業率

/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Grebory Mankiw/
mag2 ID:25929

         マンキューも読むのでR!
   
          第018回(2000/05/18)
 
       第五章 失 業(3)

        「労働組合の活動と失業率」

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  このメルマガは、グレゴリー・マンキュー箸のマクロ経済
 学1・2(東洋経済新報社・刊)を中心テキストにし、マク
 ロ経済学をゼミ風に勉強しようというメルマガです。BNは↓
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/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Grebory Mankiw/
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         労働組合の活動と失業率 

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■待機失業(復習)
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 社会や経済が変化したり変動することによって、労働に対する需
要・供給が変化する。

 それによって失業者が新しい仕事を探して雇用契約を結ぶ(マッ
チング)のに時間がかかることを「摩擦的失業」という。

 一方賃金の硬直化も失業の原因となる。

 賃金は上げやすく、下げにくい。

 だから労働市場の需給バランスによって定まる実質賃金の均衡水
準より、労働者に支払われる賃金は幾分高くなってしまう。

 このような現象を「実質賃金の(下方)硬直化」という。

 賃金が余分に高くなれば、その分雇用される労働者の人数は減る。
このような失業を「待機失業」という。

 労働者は賃金の均衡水準が低くなっても、高く雇ってもらえる時
期を「待機」しているのである。


実質賃金
 ↑
 |  \     |労働供給
 |   \    |
 |    \   |
p'|……………\  |
 |     |\ |
 |     | \|
p*|……………………| 
 |     |  |\
 |     |  | \
0――――――――――――――→
 ←――――→←―→    労働
雇用数  失業数

※均衡賃金P*なら全員雇用されるが、硬直性賃金水準だと失業が
起こる。

 待機失業の原因となる賃金の硬直化の原因は、

1)最低賃金法による下支え
2)労働組合による独占力
3)効率性賃金

である。

 1)と3)については前回触れた。今回は2)についてである。

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■労働組合運動と失業率
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 たいていの経営者は労働組合の活動を好まない。

 というのも労働組合員の賃金は労働市場の水準とは関係なく、労
組と経営者の団体交渉で決定されるが、賃金交渉以外の条件につい
ても譲歩しなければならないからである。

 団体交渉の議題は労働時間や労働者の労働環境、そして会社にと
ってはなんの役にも立たないような生産性の低い労働者の雇用保障
にまで及ぶ。

 それでは限界労働生産性は低くなってしまい、商品の市場での競
争力が落ちてしまうので、労働組合運動を嫌う経営者は労働者が組
合運動に力を入れるインセンティブを削ぐために、高めの賃金を支
払うことになる。

 つまり労働組合の交渉力が高い経済では、

1)労働組合の交渉力が強い企業の労働者の賃金は高めになる
2)そうでない企業の賃金も、高めになる

ということが起こり、これによって実質賃金が硬直化して失業が増
えてしまうのである。

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※ もちろん1)と2)は同じではない。
 2)による賃金支払いは、生産性の高い労働者(つまり出来るヤ
ツ)には十分な高賃金、そうでない労働者にもそこそこいい賃金、
というような支払方法(たとえばインセンティブ契約)であるが、
1)の場合は仕事ができるできないとは関係ない横並びの賃金支払
いになりやすい。
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 アメリカ合衆国各州のデータは、この説を裏付ける。

 というのも労組組織率(=組合員数/雇用数)の高い州ほど、失業
率が高いのである(もちろん失業率が高いから組織率が高まるとい
うこともあろうが)。

 1985年のデータでは、労組組織率が10%上昇すると失業率が1.2%ほ
ど引き上がる、、、という計算が出ている。


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■インサイダー=アウトサイダー問題
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 労働組合問題は、企業に雇用されている組合員グループ(インサ
イダー)と失業している労働者グループ(アウトサイダー)との軋
轢(あつれき)を生む。

 というのも組合運動によって不自然に引き上げられた賃金や待遇
が、失業している労働者の再雇用に大きな障害となるからである。

 労組活動によって均衡水準より高い賃金を受け取っているインサ
イダーは、失業しているアウトサイダーの雇用機会を不当に奪って
いる可能性が高い。

 これは公的機関が自らに与えられた特権や独占力を利用して民間
企業の仕事を奪うというパターンにも共通するが、このようなイン
サイダー=アウトサイダー間の利害対立が解消されなければ、この
タイプの失業率の上昇は避けられない。 

 なぜなら労組の組織率の高さと失業率の高さの相関性は、このイ
ンサイダー=アウトサイダー間の利害対立が、上手く調整されてい
ないからかも知れないのだ。

 北欧諸国の例がそれを示唆する。

 というのも北欧諸国では労組の組織率が高いのにも関わらず失業
率が低いのだが、その原因としてこれらの国々の政府の介入政策が
上げられているからである。

 これらの国々では政府が労使の賃金交渉の過程で介入し、労働組
合などのインサイダー活動を押さえている。

 すなわち国家が政治的に賃金を「実質賃金が完全雇用を達成する
ような適正な均衡水準に近づくように」調整しているわけである。


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■労働組合に対する政策と失業率の関係
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 このように、政府が労働組合に対してアドバンテージを与えるか
どうかもその国の失業率に反映する。

 つまり政府が労組活動を一方的に支援する政策を採ると、実質賃
金は均衡水準より高くなりすぎて失業率を高めてしまうのだ。 

 1960年代までは同様の失業率で推移していたアメリカとカナダの
ケースが、それを裏付ける。

 当時はどちらの国においても労組組織率は30%前後であった。

 だがその後カナダ政府は労組と労働者を後押しする政策を積極的
に採り、一方アメリカ政府は採らなかった。

 その結果、労組の活動が活発化したカナダの実質賃金はアメリカ
に比べて約30%も上昇した、、、、が、その一方で失業率は過去
十年に渡ってカナダの方が2~3%も高くなってしまったのだ。

 手厚い失業保険と労組の後押しが、多くの摩擦的失業者と待機失
業者を生みだした。

 政策的に労働組合の賃上げ運動を後押しすることが、結果的に失
業率を高めて労働者間の貧富の差を広げてしまうとは、、、

 経済を甘く見ては行けないという一つの例かも知れない。

(つづく)
 
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           今回の・・・ 
 
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 次回は失業のパターンと、トレンドのところを読む予定。
 んでもってその次は、第一巻に戻って貨幣とインフレの話。


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