クラウディング・アウト!
クラウディング・アウト!
/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Grebory Mankiw/
mag2 ID:25929
マンキューも読むのでR!
第009回(2000/03/21)
第二部、長期分析
第三章 国民所得:生産、分配、配分(5)
クラウディング・アウト!
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このメルマガは、グレゴリー・マンキュー箸のマクロ経済
学1・2(東洋経済新報社・刊)を中心テキストにし、マク
ロ経済学をゼミ風に勉強しようというメルマガです。BNは↓
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/Let's Challenge Economics!/Macroeconomics/N.Grebory Mankiw/
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国民所得勘定の恒等式:
Y(総生産)=C(消費)+I(投資)+G(政府購入)
+NX(純輸出)
貯蓄S:
S(貯蓄)=Y(総生産)-T(税金)-C(Y-T)
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前回のおさらい
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■投資・利子率・貯蓄
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Y:産出量(国内総生産GDP)、C:消費、I:投資
G:政府購入、T:税金 r:利子率 について、
Y=C+I+G、C=C(Y-T)、I=I(r)
∴ Y=C(Y-T)+I(r)+G ……(*)
となるが、ここでGとTは政府によって決められていて一定だし、
Yは存在する生産要素(資本や労働力)と生産関数(生産技術)に
よって決まってしまうのでこれも一定。結局一定でないのは
I=I(r)だけである。
さて利子率rと投資Iは逆相関関係にある。そして
(1)利子率rが高すぎると投資が少なくなりすぎて、産出物への需要
は供給に満たなくなる。つまり
Y>C+I+G
である。
(2)利子率rが小さすぎると投資が多くなりすぎて、
Y<C+I+G
となる(需要が供給を上回る)。
ここで国民所得勘定の恒等式Y=C+I+Gを変形すると、
I=Y-C-G =(Y-T-C)+(T-G)
と書き直せるが、Y-T-Cは総生産から税金と消費を差し引いた
額だから「貯蓄S(セービング)」である。
YとTとGは一定だから「投資と消費関数」が相関であり、貯蓄
SもS=Y-C-G=I(r)だから、一定になる。
だから貯蓄が利子率に依存しないモデルにおいての貯蓄と投資・
利子率の関係は、下のグラフのようになる。
r'がつまり「均衡利子率」である。
r(利子率)
↑ S(一定)
| \ |
| \ |
| \|
r'|---------- \
| |\
| | \
| | \I=I(r)
| | \
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
S
つまり
「利子率は投資が貯蓄に等しくなるまで調整される」
のである。
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クラウディング・アウト!
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■政府購入Gの増加
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政府購入がΔGだけ増える時の影響を考える。
今考えているモデルは外国との取引を無視できるモデルであるか
ら、国民所得勘定の恒等式はNX=0となり、
Y(総生産)=C(消費)+I(投資)+G(政府購入)
である。
この時GがΔGだけ増加するとYやT(税金)は不変だからCも
不変(なぜならC=C(Y-T)だから)。よって
I+G=I'+(G+ΔG)
より投資がΔGだけ減らざるをえない。
そうなるとどうなるか?
つまり利子率rが上昇して投資Iがそれだけ減るのである!
このように政府の拡張的財政によって利子率が上昇し投資が減退
することを特に「クラウティング・アウト」という。
このカラクリは簡単である。
というのも政府が政府購入をΔGだけ増やすためにはその資金を
調達しなければならないが、それは貯蓄の減少を意味する。
すなわち前回の利子率-投資(貯蓄)グラフのSが左に寄るので
ある。
貯蓄が減れば資金の需給関係から利子率が上昇する。
r(利子率)
↑ S' ← S
| \ | |
| \| |
r'|--------- \ |
| |\ |
↑ | | \|
r |----------------\
| | |\I=I(r)
| | | \
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
----------
■租税の減少
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次にΔTだけ租税が減少する場合について考えよう。
これまでの式でTが登場するのは貯蓄と消費の式である。
すなわちS=Y-T-C、C=C(Y-T)だが、減税は可処分所
得額を増やすから消費を増やす。
この時の消費の増加分は、限界消費性向MPC(可処分所得が一
単位増えたときの消費に回る度合い)にΔTをかけたモノとなる。
つまりMPCが大きいほど減税による消費増加は増える。
だが生産要素から総生産Yは一定である。この場合Gも一定であ
るから、結局増えた消費の増分MPC・ΔTだけ「投資が減る」!
つまり貯蓄S=Y-T-Cだから貯蓄が減り、均衡利子率rが
やはり上昇してしまうのである。
1980年代に合衆国大統領レーガンは大減税と軍備のための支出を
大規模に増やしたが、その結果は利子率の上昇と貯蓄率の低下を招
くことになった。
単純なモデルであるからといって非現実的であるわけでもない。
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■投資需要の変化
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さてでは投資需要の変化の原因と影響は何だろうか?
投資需要の変化、すなわち「投資が増えるかも知れない」理由の
ひとつが「技術上のイノベーション(技術革新)」である。
たとえばパソコンというものが発明されたなら、企業や家計はパ
ソコンを利用する前に投資財を購入しなければならない。
また政府の税制も投資需要を変化させる。
たとえば政府が個人所得税を増やし、増収分を新しく資本に投資
する人への減税に使うとしよう。
このような税制の変化は投資計画をより収益性の高いモノとする
ため、イノベーションの時と同様に投資財需要を増加させる。
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■投資需要の変化と利子率
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貯蓄Sが利子率rに影響を受けないものとの仮定の下で、投資需
要の変化は「利子率を上下させるに止まる」。
すなわち何か新しい技術が開発され大規模なイノベーションが起
こる場合でも、供給できる資金量がSで固定されていると、投資需
要がいくら増えても資金が供給されないから、利子率が上がるだけ
になるのである。
r(利子率)
↑ S(一定)
| \ →\ |
| \ \ |
| \ \|
r'|--------\----\
↑ | \ |\
| \| \
r|--------------\ \I'=I(r)
| |\I=I(r)
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
S(投資)
もちろん実際には利子率が上がると銀行に貯金する人が増えるだ
ろうから、その場合は投資にまわる資金量は増える。つまり貯蓄S
がS=S(r)という関数でrに対して順相関(つまりrが増えると
Sも増えるという関係)であれば、貯蓄と投資は増える。
r(利子率)
↑
| \ → \ /S=S(r)
| \ \ /
r'| \ \/
| \ /\
↑| \/ \
r| /\ \
| / \ \I'=I(r)
| I=I(r)
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
S → S'
もちろんこの場合、消費Cは減ることになるが。
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第三章のまとめ
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1.
生産要素(つまり資本Kと労働力L)と生産技術(つまり生産関
数F(K、L))が経済全体の財やサービスの総産出量を決める。
すなわち生産要素が増えたり生産技術が進歩しない限り、総生産
は増えない。
2.
競争的利潤最大化企業は、労働力を労働の限界生産力MPLが実
質賃金率W/Pと等しくなるまで雇う。実質賃金率とは、労働者の
賃金を生産物の量で示したものである。
∴MPL=W/P
また資本も資本の限界生産力MPKが資本の実質レンタル料に等
しくなるまで用いられる。実質レンタル料とは資本(工場の土地建
物や生産機械など)のレンタル料を生産物の量で示したものである。
∴MPK=R/P
この時生産関数F(K、L)が規模による収穫が一定(すなわち
大工場でも零細工場でも一個当たりの生産コストが同じ)ならば、
全ての産出量は要素投入に対する支払いに充てられることになる。
すなわち Y = MPL・L + MPK・K + EP
でEP=0
3.
輸出入が無視できる経済においては、NX=0で、
Y(総生産)=C(消費)+I(投資)+G(政府購入)
である。
この時消費関数Cは租税Tに関してC=C(Y-T)と定義できる。
Y-Tは「可処分所得」でCはY-Tと順相関関係にあると考えら
れる。また貯蓄Sは
S(貯蓄)=Y(総生産)-T(税金)-C(Y-T)
と定義できる。GとTは政治的に決められるので外生変数である。
4.
投資I=I(r)は実質利子率rの逆相関関数である。
すなわち利子率rが高いと貯蓄の方が投資より有利になるので投
資が減る。逆に利子率rが低いと貯蓄より投資の方が利回りが良く
なるので投資が増える。
また政府購入Gが増えたり租税Tが減ると、利子率rが上昇する
が、これを特に「クラウディング・アウト」という。理由はその
分貯蓄Sが減少するからである。
(つづく)
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今回の・・
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ここまでは生産要素(資本ストック、労働力)や生産技術は不変
である状態での話である。
第4章ではこれらが変化する場合について考える。
コブ=ダグラスの生産関数については、またどこかで取り上げる
ことにします。